代表菊地が思い描く、kuneの未来とは?深化していく花巻への想い
2023年4月15日、V.O.Fの新しいお店である花巻・kuneがついにオープンを迎えました。
今回はV.O.F代表であり、kune店主でもある菊地に、前後編に分けてお店のコンセプトやオープンまでの期間で変化してきた花巻との関係性、そして同地で思い描いている夢について語ってもらいました。
後編となる今回は、試行錯誤を積み重ねた約2年間で変化してきた、花巻の人や土地との関係性、そして代表菊池が思い描いている夢についてのお話です。
※前編花巻・kuneがついにオープン。代表菊地が語る、コンセプト「日々是好日」はこちらからご覧ください。
深化していく、花巻の人・土地との関係性
__菊地さんが花巻に移住して約2年になりますが、花巻に暮らす方々や、花巻という土地との関係性に変化はありましたか?
菊地:花巻の人たちとの関係はより深まりましたね。開店祝いに大きな胡蝶蘭を贈っていただいたんですが、これ地元の方がくれたものです。
鉛はご高齢の方が多く、いわゆる限界集落と呼ばれる地域です。でもここで暮らしている方々はみんな鉛のことが大好きで、互いに支え合いながらコミュニティを残そうとされています。
だからkuneがやろうとしていることにもずっと肯定的にいてくださいますし、土地の魅力をたくさん教えてくれています。
__どんなことを教えてくれるんですか?
菊地:「近くで湧き水を汲める場所があるよ」とか、「あの橋の下で岩魚が釣れるぞ」とか。
kuneやV.O.Fと関係のあるところで言えば、実は近くに某デラックスブランドとの取引もある縫製工場があって、鉛に住んでいる人たちも、昔はそこで働いていたという話も聞きました。
近くに住んでいて、仲良くしてくださっているおばあちゃんにその話をしたら、「私もあの工場で35年、裁断をやってたよ」「私は縫製をずっとやってたねえ」という話もしてくれて。
だからと言って、色々な事情があるのでその人たちに何か仕事をお願いできるわけではないんですが、ファッションとは縁遠い土地かと思いきや、そうでもないということがわかってきました。
__土地との関係性に何か変化はありましたか?
菊地:季節との向き合い方が変わりましたし、それに伴って化学繊維との付き合い方も変わりました。
__どういうことでしょう?
菊地:花巻は12月から3月までが本当に寒くて、3月でもマイナス15℃になるような場所です。調べてみたら、同じ日のロシアの気温とあんまり変わらなかったりするんです。
そこまで寒いと、何もかもがいつも通りにはいきません。だから、本を読んで過ごしたり、普段は手が回らない仕事に取り組んだりして、自然に抗わない時間の使い方をするようになりました。
あとはどうすればできるだけ暖かく過ごせるかも色々考えるようになりました。体のどこを温めたらいいだろうか、みたいな。
__化学繊維の付き合い方も、その中で変わってきた?
菊地:そうですね。大阪に住んでいた時は、自分の中で「化繊は着ない」というルールがあったんですが、こっちではどんどんフリースやミリタリーのキルティングパンツなんかを着ています。
やっぱり暖かいし、乾きが早いので、作業をする時は本当に便利なんです。素材に関してはもっと理解を深めていきたいですね。
__やっぱり岩手の冬は厳しいんですね。
菊地:でも悪いことばかりではないですよ。オープンした4月の半ばごろは、夜になるとまだ寒かったので石油ストーブをつけていました。
するとお客様がストーブの前に集まって、暖を取るようになって、自然に僕や彪斗くん、お客様同士の交流が深まるんです。こういうのは、都会のエアコンのある環境ではなかなか見られない光景ですよね。
__確かにそれはkuneならではの光景ですね。
菊地:逆に春になると、仕事も積極的にできるようになりますし、「そろそろフキノトウが食べられる季節だな」「明日はノビルを取りにいこうかな」と山菜のことで頭がいっぱいになります(笑)。
そうやって、この土地の「今」を楽しんでいきたいなと思います。
花巻で描く、kuneの夢「東北・岩手の伝統工芸、精神性を“今”に合わせて捉え直したい」
__最後に、今後のkuneの展望について聞いてもいいでしょうか?
菊地:とても長い道のりになるとは思いますが、東北・岩手の伝統工芸、精神性を、僕なりのフィルターを通じて「今」の生活に取り入れていく場所にできたらいいなと考えています。
僕は2011年の大地震で、生まれた町の文化も思い出も、根こそぎ津波に流されてしまいました。家族の無事に安堵する一方で、そのことがとても悲しかった。だからずっと、地元の文化に対して何かしたいなと思ってきたんです。
花巻とその周辺の地域には、さまざまな伝統工芸が残っています。裂織りや刺し子、以前のブログで話したホームスパンもそうですし、木炭の製造過程で出る炭粉を使う炭染め(薄いグレーに染まる)や、ウニの殻で染めるウニガラ染め(薄い紫に染まる)もあります。
こうした環境を利用して、V.O.Fでお買い上げいただいた服に草木染めや刺し子をしてもっと長く使ったり、最終的に裂織りでファブリックに戻したりして、モノを大切にする東北の技術や精神を伝えられたらなと考えていて。
__伝統的な技術や精神に敬意を払いながら、きちんとV.O.F的なファッションともバランスのとれる形で提案することができたら、とても素晴らしいですね。
菊地: 東北には妖怪をはじめ、地域伝承がいまだにあちこちに残っています。妖怪の伝承を読んでいると、科学のない時代に昔の人たちが、一生懸命想像力を働かせて色々なことを説明しようとしていたことがわかります。
これらは科学的に言えば間違いなのかもしれませんが、僕はこういった余白のある世界観が大好きなんです。さっき話したような岩手や東北の伝統工芸には、こうした世界観も反映されていると思っていて。
正直、いったいどれくらい時間がかかるかはわかりません。でも一歩ずつでもいいので、色々なことを積み重ねながら、kuneの夢に向かって進んでいきたいですね。
__これからのkuneが楽しみです!今日はありがとうございました。
<NEWS>
・4月15日に新店舗kuneが岩手・花巻にOPEN。
・ZIGGY CHEN 2023SS 2ndデリバリーが3店舗に到着。
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