【NEW ARRIVAL】ZIGGY CHEN 2021-22AW COLLECTION vol.2

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【NEW ARRIVAL】ZIGGY CHEN 2021-22AW COLLECTION vol.2

10月に入ったものの、関西の気温は涼しくても夏日(最高気温25℃以上)、暑い日は真夏日(最高気温30℃以上)の日が続いています。

長期予報を見ると、下旬に入る頃にはずいぶん涼しくなるようなので、「やっと秋冬物が着られる!」と今からワクワクしている今日この頃です。

そんな中、ついにZIGGY CHEN 2021-22AW COLLECTIONの2nd deliveryがありました。アイテムはいずれも存在感抜群のアウターたち。取り扱いはCONTEXT TOKYOです。

以下では、今季のZIGGY CHENのテーマ考察最終回とともに、今回入荷分の5型(うち1型はすでにSOLD OUT)をご紹介していきます。

ZIGGY CHENとは

ZIGGY CHENは、世界第3位の大都市・上海を拠点にクリエーションを行うブランドです。

同地はグローバル企業の高層ビルが立ち並ぶエリアと、イギリスをはじめとしたら西欧諸国が居留地としていた19世紀から残されてきた古い街並みが同居する街。

言うなれば、古いものと新しいもの、東洋と西洋の文化が混じり合いながら進化していく混沌のるつぼなのです。

そんな上海の街をインスピレーションの源としているZIGGY CHENの衣服は、尋常ではない「切る、縫う、切る、縫う」の連続から構築されます。そこには単なる衣服以上のアートの風格を感じとる人も少なくありません。

ブランド設立以来、デザイナーは既存の価値観に惑わされない反骨精神を持ち続け、新しいアイデアを一つ一つ試行錯誤しながら前進し続けており、その勢いは今なお鈍る気配はありません。

2021-22AW COLLECTION “Sugarden”も、彼のクリエイティビティがこれでもかというほど詰め込まれた、素晴らしいコレクションになっています。

2021-22AW COLLECTION “Sugarden” 考察その4

2021-22AW COLLECTIONのテーマは“Sugardens”。ZIGGY CHENの拠点である上海から西へ100kmほどのところにある歴史的な街、蘇州(SUZHOU)と、庭園(GARDENS)を組み合わせた造語です。

今季はそのテーマ通り、600年以上前に蘇州に建設された庭園群「蘇州古典園林」からインスパイアされたコレクションとなっています。

今までの考察(その1その2その3)ではシーズン全体や中国庭園の美学について掘り下げてきましたが、最後となる考察その4では今シーズンの最重要モチーフとなる「太湖石(たいこせき)」にフォーカスを当てていきます。

太湖石のモチーフがプリントされたSHIRT Art.#701(SOLD OUT)

“Sugardens”では、神が宿る木とされるポドカルプス(マキ科マキ属)や竹など、蘇州古典園林の様々な要素が抽象的なプリントとして使われています。しかし中でも注目したいのが、太湖石です。

太湖石は、蘇州付近の太湖周辺で切り出される、穴の多い複雑な形の奇石です。もとは石灰岩で、これが長年の侵食によって穴が開き、複雑な形になったとされています。

発見したのは唐代の詩人・白居易(白楽天)。宋代になると庭園や書斎に飾られたり、絵画や工芸品のモチーフにされたりと、愛好されるようになります。その人気は海を越え、同時代の日本の絵画にも登場しているほどです。

宋の第8代皇帝徽宗は花石綱(かせきこう)と呼ばれる人たちに、自分好みの庭園を造るために、時に庶民の家を取り壊してまで全国から珍しい花や木、奇石を集めましたが、太鼓石もその中に含まれていました。

1559〜1577年に造営された豫園の太湖石。
photo by Gisling

なぜここまで人々は太湖石に魅了されたのか。それは当時の知識人が、この奇石に宇宙を見たからです。

自然のテクスチャー(質感)とは複雑なものです。大地だけを見ても、無数の穴と凸凹があります。その無数の穴と凸凹が寄り集まって森ができ、山ができ、陸ができ、最終的に宇宙ができている。

多層的・多要素的に重なり、組み合わさることで、世界は構成されている。彼らはそう考えていました。

太湖石は一見してわからないほどたくさんの穴が開き、凸凹があり、どの角度から見ても違う形をしています。さながら、彼らのイメージしていた宇宙のように……。

だから当時の知識人たちは、こぞって太湖石を集め、庭園や自室に飾ったのです。蘇州古典園林の庭園群も、その例に漏れませんでした。

ルックブックより、複雑に折り重なるチェックの生地が印象的なルック。

考察その2、その3では、中国庭園の多層的・多要素的・多角的な美学に注目しました。なぜ中国庭園がこのような美学に基づいているのかというと、自然と人との調和を表現するためです。

前述したように、当時の人々にとって自然とは複雑なものでした。だからこそ、庭園も複雑に構成された。

中国の伝統的な庭園は、そうして忠実に自然を表現することで、神のような視点で自然を操作して満足するためではなく、自然と人が調和することを目指して造られたのです。

この美学を象徴するものが太湖石でした。だからこそ、今季のZIGGY CHENは「自然と人間との理想的な調和の象徴であり、蘇州古典園林の基本的な要素である」としたのではないでしょうか。

<参考文献>
中国庭園における見立の表象―拙政園を例にして(クリックでダウンロードが始まります)
戸栗美術館『学芸の小部屋』「渦巻と太湖石」
中国と日本の古代絵画の太湖石

ZIGGY CHEN 2021-22AW 2nd delivery

以下では、10月5日付けでONLINE SHOPに掲載した、2nd deliveryのラインナップを5型ご紹介します。各アイテムの詳細は、各写真下のリンクからご確認くださいませ。

ZIGGY CHEN JACKET Art.#902(SOLD OUT)

ONLINE SHOP
▼京都・乙景 Instagram
▼東京・context Instagram
▼VISION OF FASHION Instagram

<NEWS>
【新入荷】
・ZIGGY CHENの2nd deliveryがCONTEXT TOKYOに入荷。
・SCHAの2021-22AW COLLECTIONが東西各店に入荷。
【リニューアルオープン】
・リユースサイト「ARCHIVE OF FASHION」がリニューアルオープン。

書き手/鈴木 直人(ライター)