【EVENT】 “un-productivity” by tomo kishida / 乙景

“un-productivity” otsukei Dec.13-21
乙景より、年内最後のイベントのお知らせです。
来週土曜日、12月13日から21日までの期間、
tomo kishidaとの展示会を開催いたします。
2022年5月に最初の展示会を行ってから、
ありがたいことに今回で7回目を迎えます。
初回の際に話し合ったことがあります。
どれだけ時間をかけていようと、
どれほど高価であろうと、洋服は「着てこそ」。
ハンガーにかかった服を眺めるだけでは
洋服の良さは伝わり辛いし、
特に手織り生地で仕立てられる洋服は、
袖を通すほどにその人の身体に馴染み、
風合いを変えながらゆっくりと育っていく。
着込むほどに愛着が深まり、
ふとした瞬間に新しい表情を見せてくれる。
そんな体験を届けたいという思いがありました。
なので、いわゆるハンドメイドの洋服というカテゴリーに寄せすぎず、
tomo kishidaというデザイナーがつくる洋服を、
乙景というフィルターを通してどう伝えるか。
作家性を押し出すというより、
ファッションという領域でみせることを意識してきました。
その積み重ねのなかで、イベントの熱は徐々に高まり、
実際に手に取り、袖を通してくださる方も増え、
たくさんのお客様に迎えていただくようになりました。
いつも本当にありがとうございます。
今回は視点を変えて、
tomo kishida の活動そのものに触れ、
その時間の流れを肌で感じられる
展示会にしたいと思いました。
というのも、この4年間の中で岸田さんと
一緒に過ごす時間が増えてきて、
アトリエにもよくお邪魔させてもらっているので、
自然と、彼の制作の現場に流れる時間を、
そのまま目にするようになりました。
それこそ、どれだけの時間をかけて
1着の服が出来上がるのかを
近くで見させてもらっていると思います。
裂織りで、手織りだから
時間がかかるのはもちろんですが、
パターンを考える時間、糸を準備する時間、
生地から洋服へと縫っていく時間。
挙げるともっとたくさんの工程がありますが、
それらのどの工程にも同じような時間の流れがあって、
言葉にするのが難しいのですが、
深くて緩やかな時間が流れています。
淡々としていながら、どこか澄んでいるような。
その流れに触れていると、
なぜ自分が岸田さんの洋服を好きなのか、
ふと腑に落ちる瞬間があります。
どう考えても、”非生産的”で時代の
流れとは逆行しているようにも思えますが、
自分はそこに”意味”、そして “アート” を
感じているようです。
そんなことを感じてもらえるように、
今回は今まで以上にtomo kishidaの活動、
そして制作をじっくり味わってもらえるように準備しています。
tomo kishidaのアトリエを乙景の空間内に用意し、
8日間の展示期間中に1着の作品を制作します。
岸田さん自らの手から作品が生まれていく過程を
是非それぞれの感覚で、肌で感じてください。
今回の展示会は、ファッションが好きな方はもちろん、
どこか忙しなく現代を生きている私たち全員にとって、
tomo kishidaが生み出す時間の流れを感じながら、
少しでも”なにか”を感じ、
考えるきっかけになれば幸いです。
最後に、以下展示会の内容文と制作のスケジュールです。



tomo kishida exhibition at otsukei ” un-productivity “
December 13 (Sat) – December 21 (Sun)
生産性の時代。
18世紀の産業革命以降、世界は「速さ」を覚え、
手仕事によるものづくりは、
次第に機械が担うように変化した。
衣服をつくる工程は家内での専業制から
効率を求めて分業制へ。生産の場は工場へと移り、
衣服の大量生産が進んでいく。
そこから今日にいたるまで、
衣服は均一化の道を辿ってきた。
「生産性」という名のもとに、衣服の消費化が進み、
手仕事の時間軸が生み出してきた美しさは、
いつしか産業革命以前の時代に取り残された。
tomo kishidaのプロジェクトは、
そうした時代を遡るように、
すべての工程を自身のアトリエで、
手仕事によって時間をかけて制作している。
生産性を重視することが当然となった
現代において失われた“なにか”を
取り戻そうとする試みである。
まるで時代の流れに逆行するかのように静かに、
ゆっくりと時間をかけて生まれる衣服は、
大量生産・大量消費が当たり前となった今だからこそ
浮かび上がってくる「非生産性」の美しさや、
かつて流れていた時間軸を感じさせ、
本来人間が持っていた“余白の美”へと引き戻してくれる。
本展では ” un-productivity ” と題し、
現代の「生産性」とは異なる時間の流れを
体感していただくために、乙景の空間内に
織り機やミシンなどの道具を持ち込み、
tomo kishida の制作現場を設け、
会期中の8日間をかけて1着の作品を制作します。
使い道が無くなってしまった布を裂いて糸をつくり、
裂織りの手法によって手織りで布を織り上げ、
その布に合わせてパターンを引き、
時間をかけて1着の服を仕立てていく。
築100年を超える京町家の静けさの中で、
tomo kishidaと我々が生み出す
時間の流れを感じながら、
ほんの少しでも“なにか”を感じ、
考えるきっかけとなれば幸いです。
ではまた、展示会で。
■EVENT日程
12/13(土)11:00-19:00
12/14(日)11:00-18:00
12/15(月)11:00-18:00
12/16(火)11:00-18:00
12/17(水)休廊
12/18(木)11:00-18:00
12/19(金)11:00-18:00
12/20(土)11:00-19:00
12/21(日)11:00-18:00
■場所 乙景(オツケイ) 京都府京都市下京区桝屋町473−7
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