京都・乙景スタッフ山口が、いま、手にとって欲しい逸品【2022-23A/W編】
シャツ、コート、ニット、ジャケット……気温が下がってきて、「今日はどれを着ようかな」と悩むのが楽しい季節になりました。
東京・CONTEXT、京都・乙景の店頭も、秋冬ものがたっぷり充実していますが、充実しているがゆえに店頭では全てのおすすめをご紹介することができないこともあります。
そこで「いま、手にとって欲しい逸品」と題して、各店スタッフから今まさにぜひとも着て、見て、触っていただきたい作品を紹介します。
今回、京都・乙景スタッフ山口竜輝が紹介するのは、ZIIIN “OSCAR” HIGH NECK COLLAR SHIRT BEIGEとZIGGY CHEN DOUBLE BREASTED OVERSIZED COATの2点です。
※ZIGGY CHEN DOUBLE BREASTED OVERSIZED COATは、2022年10月28日現在すでに完売。
ZIIIN “OSCAR” HIGH NECK COLLAR SHIRT BEIGE
__まずはZIIINのハイネックカラーシャツ、”OSCAR”のベージュを紹介したいとのことですが。
山口: “OSCAR”はけっこう着こなすのが難しいっていうイメージを持っている人が多いと思うんです。
でも僕にとっては今季のZIIINの中でもかなり使い勝手が良くて、かつちゃんとキマるシャツだと感じているので、きちんと紹介しておきたいなと。
__なるほど。では山口さんから見て、どのあたりが”OSCAR”の魅力なんでしょう?
山口:まずは今季の素材ですね。今季の素材は綾織(デニムと同じ斜めに織柄の入る生地)のオーガニックコットンに、ブラッシュ加工を施したものを使っています。
なので起毛感があって、見た目にも肌触りもふわふわしていて、本当に心地の良い素材です。
__硫化染のブラックもありますが、どうしてベージュがいいと思った?
山口:”OSCAR”ってZIIINのシャツの中ではモード寄りのポジションにあると思うんです。だからどうしてもクール(冷たい)で少し硬いイメージが強かった。
でもこのふわふわの素材で、柔らかな印象のベージュにすると、そうしたモードな雰囲気がいい感じに和らぐんですよね。そのバランスがすごく好きで。
__でもやっぱり、このハイネックカラーは難しいと感じる人は多そうですよね。かなり高さがありますし……。
山口:と、思うじゃないですか。でも、この襟の高さだからこそスタイリングのバリエーションも多彩で、着られる季節も長いんです。
__というのは?
山口:まず、3つある襟のボタン全てを留めると、シンプルに暖かいんです。
今季はS/Sのロング丈と比べると短く、普通のシャツと比べると長いという着丈なので、上からニットベストやニットを合わせると、ニットの上と下、両方から”OSCAR”の襟と裾が覗くので、インナーとしてのレイヤードに重宝します。
__あー!なるほど!
山口:シャツなのでコートやジャケットでも当然合いますが、プルオーバー系ともかなり相性が良いシャツなんです。
生成りは中間色なので、ネイビーでもカーキでも、色はなんでも合いますし、個性の強い襟とバランスをとって比翼ボタンにしてボタンが見えないようにしているので、本当に色々なアイテムと合わせられます。
足し引きのバランスが本当に優秀なんですよ。
__着られる季節も長い、というのは?
山口:襟のボタンを調整することで、体温調節が自在にできるんです。
全てのボタンを留めると暖かいという話は先ほどしましたが、2つ外して着ると少し首の詰まった短めのレギュラーカラーシャツになります。
で、もう一つ外して襟のボタンを留めないで着ると、大きめのオープンカラーに。個人的にはこちらの着こなしの方も色気が出て好きです。
__セーラーカラーにも見えるし、70‘sのオープンカラーシャツにも見えますね。
山口:そうなんです。S/Sに比べて丈が短くなったので、余計に70‘sのシャツをオーバーサイズで着ているようなムードが出るようになっているんですよ。
しかも、もっと暖かい季節になったら、全部ボタンを外して襟を寝かせて着ればカーディガン感覚で羽織としても使えます。
__上まで締めても、途中まで開けても、全部開けてもサマになるっていう意味では、ドライバーズニット的な魅力があるんですね。
山口:ZIIINは実際に着てみないとわからない魅力も多いので、試しに色々着てみてほしいですね。
僕が店頭で積極的におすすめしているのもあって、今季の”OSCAR”はけっこう動きが早めです。これを読んで気になってきた、という人はお早めにInstagramなどからお問い合わせいただければと思います。
ZIGGY CHEN DOUBLE BREASTED OVERSIZED COAT
※こちらの作品は、2022年10月28日現在で完売しております。
__では、ZIGGY CHENのダブルブレストコートに話を移しましょうか。
山口:このコート、まず、かっこいい!!!!
__語彙力低っ!(笑)
山口:いや、違うんです、待ってください(笑)。
僕が言いたかったのは、ZIGGY CHENの服には、あれこれ説明しなくても見る人、着る人の心が躍るようなパワーがあるということなんです。
実際、このコートを見てくださったお客様は、みんな口を揃えて「こんなのを見せられたら、なんとかし手に入れたいと思っちゃいますね……」とおっしゃいます。それくらい、問答無用でかっこいいんです。
でも、当然ながら、ただカッコいいだけではありません。そのあたりを今日はお話ししたくって。
__よろしくお願いします。
山口:まずはパターンワークです。乙景ではこのモデルの黒も取り扱いがあるんですが、こちらは真っ黒ということもあって、パターンが視覚的に目立たないように作られています。
しかしこちらのカラーは、色の違う生地があちこちで切り替わっているので、パターンワークのすごさが堪能しやすくなっています。
__どんなパターンワークが使われているんですか?
山口:正直うまく説明するのは難しいです。分厚い生地を重ねて作っているはずなのに、重ねることで生まれるはずの凸凹感もありませんし。
シンメトリーのようでアシンメトリーなパターンをとっているので、着てみると生地が揺れるんです。いったい何がどうなっているのか(笑)。
__どれどれ、見せてください。あー……なるほど……ふーん……んえあ!?どうなっとんだ、こりゃ!?
山口:そうなりますよね(笑)。ただ、静かな作りの黒と比べて、こちらのカラーは随所にこのパターンワークを目で見て楽しめる工夫が施されています。
例えば左右の肩。左側はインサイドアウトで作っていて、ショルダーラインに合わせて下に落ちる作りなんですが、右側は一般的なジャケットと同じように作ることで、こちらだけ肩のラインがポコっと出るようになっています。
このシルエットがものすごく可愛いんです。
あるいは右の前身頃のライン合わせ。異素材をドッキングしているのに、まるでそんなことをしていないかのようにピッタリとラインが揃っているんです。
このあたりは、素材ごとにカラーが違うからこそ目で見て楽しめる仕様だと思います。
__今季のZIGGY CHENは裏地がシンプルなものも多いですが、このコートはどうですか?
山口:よくぞ聞いてくれました。このコートに関しては、今季のモチーフがプリントされた特別な裏地が使われているんです。だから思わず前を開けて、ヒラッと見せたくなる。
しかも表地の暖色系のアースカラーに対して、裏地は少し冷たさを感じる岩のような色合いを使っています。
ポケットの袋布にも茄子紺の生地を使っているんですが、こういうバランスが陰陽思想を重んじるZIGGY CHENらしい感覚だなと思います。
他にもここにワッペンが縫い付けられていたり、袖の裏地が左右非対称になっていたり……。
__なんだか、裏で着ることを想定しているかのようなこだわりっぷりですね。
山口:いや、今季はS/Sと違ってリバーシブルを意識していないので……ん?いや、待てよ(おもむろに裏で着る)。……いけちゃうやん。
__全然いけてますね。黒のコートの裏地がめちゃくちゃシンプルだということを考えると、そっちでしっかり裏地を作り込んでいるということは、リバーシブルを想定していることも十分あり得ますね。
山口:しかもこれ、表で着た時の内ポケットの位置が、裏にすると完全に普通のコートの胸ポケットの位置に来ますね。ポケットの仕立ても、表のポケットにするようなものになっています。とんでもないですね、ZIGGY CHEN(笑)。
__本当に見れば見るほど、着れば着るほど発見のあるコートだ。
山口:すごいですよね。多分実際に購入してきていく中での新たな発見もあるんじゃないでしょうか。
__でも、このコートを含めて今季の乙景のZIGGY CHENは、街に馴染む作品が多いように感じます。
山口:そうなんですよ。もともとZIGGY CHENは黒以外も都会的なカラーパレットを使うイメージがありましたが、近年のコレクションは自然にも合うような色を多用するようになっています。
だからこのコートも、けっこうデイリーに着て楽しめると思いますね。まだONLINEには掲載していないので、ぜひお店に見に来ていただければ嬉しいです。
__今日はありがとうございました。インタビューも終わったことなので、その2点、試着してもいいですか。
山口:欲しくなってるじゃないですか(笑)。もちろんです、ぜひ着てみてください。
<NEWS>
・乙景に新ブランドJurgen Lehlの第一便が到着。
・東西各店にZIGGY CHENの 2022-23A/W COLLECTIONの第二便が到着。
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<NEWS>
・東西各店に新ブランドJurgen Lehlの最終便が到着。
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語り手/山口 竜輝(乙景スタッフ)
書き手/鈴木 直人(ライター)