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私が今季、XENIA TELUNTSのニットウェアを選んだ理由

「秋冬だからこそ楽しめるアイテム」というと、皆さんは何を想像しますか?コートなどの羽織ものを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、ニットも寒い季節を楽しむ最高のアイテムだと私は思います。

秋冬の定番アイテムとなっているニットですが、どこにでもある一方で、一体どれを買えばいいのかわからない人もいるのではないでしょうか。

私、伊藤香里菜も数あるニットブランドの中で決めあぐねているうちに気づけばシーズンが終わっていた、ということが何年も続いていました。

しかしCONTEXT TOKYOで取り扱いを始めたXENIA TELUNTSのニットと出会い、その悩みを解決することができました。

今回はXENIA TELUNTSのニットを一足早く購入して(ちょっと暑いのを我慢しながら)着用してみた私の視点から、その着用感やスタイリング、そしてアイテムに込められたものづくりの価値観についてお話ししようかと思います。

XENIA TELUNTSとは―――フィッシャーマンニットをニュートラルにリデザイン

XENIA TELUNTS(キゼニア・テルンツ)とはモスクワ出身の女性デザイナーが手がけるイギリスのブランドです。

未脱脂のウールを使ったニット
photo by Freimut Bahlo

今回私が購入した定番のニットは、フィッシャーマンニットをベースにしています。フィッシャーマンニットは、北欧の漁師が着ていたとされるニットのこと。

厳しい環境下の漁に耐えるために、未脱脂のウール(ヴァージンウール)を使って保温性や防水性を高めたタフな衣服です。

形や色味といい、ヴィンテージが好きな方であれば、ひとめ見て「ちょっと似ているかも」という印象を持たれるのではないでしょうか。

ただし、ヴィンテージのフィッシャーマンニットは無骨な印象が強いのですが、XENIA TELUNTSのニットからは、男性的でも女性的でもない、どこかニュートラルな印象を受けます。

その要因となっているのが、くるっと丸まった首周り・袖口・裾・ポケットの口のデザインです。

天竺編みの特性をうまく生かしたディテールなのですが、このデザインのおかげでフィッシャーマンニットの無骨さが和らぎ、女性の私でも着られるような中性的なアイテムになっているんです。

また、同ブランドのアイテムにはデザイナーの故郷であるロシアのヴィンテージバッチもランダムでついてきます。

デリバリーで届いたバッチには、動物モチーフのものや、ソビエト連邦で4年ごとに開催された総合スポーツの祭典「スパルタキアード」を連想させるものもあります。

東京オリンピックに合わせて選んだと思われるスポーツがモチーフのバッチもいくつかあり、子供心をくすぐられました。こうした愛嬌も、このニットのニュートラルなムードを生み出している要因ではないでしょうか。

取扱はBrown(ブラウン)・Taupe(トープ)・Oatmeal(オートミール)の三色。私はブラウンを選びました。どれも無染色ならではの、優しい色合いなので、男女どちらも着られます。

サイズもS・M・Lとご用意がありますので、お好みのボリューム感で着こなしてみてくださいね。

XENIA TELUNTSのニットの着用感―――ウール特有の肌触りも特徴

XENIA TELUNTSのニットはヴァージンウール100%なので、正直に言って素肌の上から着ると羊毛特有のチクチク感があります。

これは化学的な処理をしない、昔ながらのフィッシャーマンニットのものづくりの哲学を継承しているからこその肌触りですが、気になる人は気になる悩ましい問題です。

事実、先日このニットを買ったことがあるというお客様とお話ししたところ、「下にヒートテックを着ていても、ニットの繊維がヒートテックを貫いてチクチクすることがある」とお聞きしました。

私はどうやら肌が強いらしく、素肌の上から着ても問題はないのですが、ウールのチクっとした着心地が苦手な方は、少し大きめなサイズを選択していただき、シャツや密度のあるインナーを着込むなど、着こなしにひと工夫を加えることでこのニットを楽しんでいただけるかと思います。

それでは実際にどんな着こなしがあるのか、いくつかご紹介したいと思います。

XENIA TELUNTSのニットウェアを使ったスタイリング

最初にご紹介するのは、ニットを主役にしたスタイリングです。

フィッシャーマンニットをモチーフにしたXENIA TELUNTSのニットは、ポケットのデザインが印象的なイギリス海軍のパンツと組み合わせることで、ヴィンテージ感を残しつつも洗練されたスタイリングに仕上げることができます。

次は、ニットの中にシャツを仕込んだスタイリングです。写真のように、ニットのゆとりを生かして裾や袖口からシャツの生地を覗かせ、レイヤードを楽しむことができます。

ウールのチクッとした肌触りが苦手な方は、このようにして一枚何か着込み、ニットをアウター感覚で取り入れてみてほしいです。

最後にご紹介するのは、ニットのセットアップを使ったスタイリングです。実はCONTEXT TOKYOではブラウンのみニットパンツを取り扱っています。

セットアップの上からコートなどを合わせると、街でも着られるスタイリングとなり、新鮮な秋冬の装いになるのではないでしょうか。

私も、いろんな着こなし方を皆さんと探していきたいので、ぜひ一度店頭でいろんなアイテムと合わせてみてください。

XENIA TELUNTSのニットを選んだもう一つの観点―――ブランドに込められた哲学

イギリスはグリムズビーの19世紀末頃の風景。同地は古くから漁師町として知られ、同時にフィッシャーマンニットの産地としても有名で、現在もニットのブランドやメーカーが多い。
引用:Wikipedia

私がXENIA TELUNTSのニットを選んだのは、アイテムの面白さだけではなく、サステナブルにこだわった生産背景に共感したからです。

例えば、ニットウェアはイギリス産のウールを使用し、同国北東部のグリムズビーで小さなニットチームを組むことで、デザイン・資源調達・製品生産を国内で済ませています。こうすることで無駄な輸送コストが省かれているのです。

さらに羊の毛色を生かして未染色の糸を使うことで、糸を染める時に必要な水の使用量を抑えています。

またニットウェアに限らず他のアイテムでも、廃棄される部分が少なくなるようなパターンカットを実践しているそうなのです。

さらにさらに驚いたのが、発送時の梱包資材にまで、環境に配慮した資材を使用しているところです。

CONTEXT TOKYOへは段ボールで届いたのですが、プラスチックの袋は一切使われていなく、アイテムはリサイクル紙で包まれていました。

納品書までも再生紙で、XENIA TELUNTSは「作る側の責任」を十分に理解して、ものづくりをしているのだと感心しました。

昨今のファッション業界では何かと話題なサステナブルファッションですが、私自身おしゃれをしっかり楽しみながら、社会的な課題にも向き合いたいという気持ちが強くありました。

XENIA TELUNTSのニットはそれを叶えるのに最適なアイテムのひとつなのではないかと感じています。

XENIA TELUNTSのニットで秋冬の装いを楽しんで

ニットの素朴さを残しつつ、随所にあらわれる可愛らしさやスタイリングの幅広さ、ゼロウェイスト(ごみをゼロにする)への姿勢などが魅力のXENIA TELUNTSのニット。

使い込んでいくたびに生地が柔らかくなり、着心地にも変化があるのではないかと思います。この一着が今後どのような表情を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

今回のジャーナルを読み終え、「ちょっと試着してみたいかも……」という気持ちになってくだされば幸いです。

※なお、ヴァージンウールのチクチク感については、赤ちゃん並みの敏感肌を自称する弊社ライターの鈴木が色々と実験をしているようなので、「デザインは好きだけど、どうしてもチクチクがダメ」という人は後日の実験レポートをお待ちくださいませ!

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編集 /鈴木 直人(ライター)
書き手 /伊藤 香里菜(CONTEXT TOKYOスタッフ)