GUIDI・ZIIINでつくる「襲色目」のスタイリング – “色合わせの美学” を平安貴族に学ぶ

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GUIDI・ZIIINでつくる「襲色目」のスタイリング – “色合わせの美学” を平安貴族に学ぶ

皆さんは服の「色の組み合わせ」に悩んだことはありますか?実はcontextで働く私、伊藤香里菜は色合わせに苦労していました。

店頭で良い色の服を見つけても、結局着なれている色を選んだり、持っている服とどう組み合わせたら良いのか分からなくなったり……皆さんもこんな経験はあるのではないでしょうか。

何かお手本のようなものがあれば、わかりやすいですよね。実はそのお手本、あるんです。

それが「襲色目」(かさねしきめ)です。今日は日本古来の“色合わせのお手本”とも言える襲色目をもとに、色を使ったスタイリングをご紹介したいと思います。

「襲色目」とは日本古来の“色合わせのお手本”

『源氏物語』第5帖「若紫」
引用:Wikipedia

襲色目とは簡単にいうと、服の色のかさなりを表す言葉です。奈良時代や平安時代の貴族が身につけていた衣服は薄く、透ける素材のものが多かったそうです。

彼らはその素材をうまく利用して、布の表地と裏地を重ねたり、衣服を重ね着したりして独特な美しい色調を作り出し、装いを彩ったのです。

雪をまとう梅の花

例えば、梅の花に雪が積もった風景をあらわした「雪の下」という襲色目は、表地に白色・裏地に紅梅色を使い、布の透けや表裏の見え隠れで淡い梅色を楽しみます。

春の訪れを待ち侘びる思いを表した、冬に使われる襲色目です。

『源氏物語』「宇治十帖」の第1帖「橋姫」。
引用:Wikipedia

平安時代に書かれた日本最古の小説「源氏物語」にも襲色目は登場します。

秋が深まる場面の「橋姫」では、光源氏の息子である薫が、異母弟である八の宮のもとへ訪れます。薫は八の宮がいない中で覗き見た姉妹たちの優雅さに感動します。

その姉妹である中の君(下の画像の中央にいる女性)が「朽葉の襲」という襲色目を身につけて、冬に向かって木々の葉が朽ちていく様子を表しています。

要するに、襲色目は平安貴族が季節を通して「いいよね、この色」としていた色の組み合わせなのです。だから日本人に、そして日本の風景にも似合うというわけです。

GUIDI・ZIIINでつくる「襲色目」のスタイリング

「藤の襲」 藤の花をオマージュした色合わせ

藤の花が見せる、美しい紫のグラーデーションと緑の色合わせ。
photo by self

それでは、平安貴族の襲色目に習ってスタイリングを組んでみましょう。

最初にご紹介する襲色目は「藤の襲」です。紫や白のグラデーションが美しい藤の花と、みずみずしい葉を表した藤の襲は、藤が咲く旧暦の夏(5月頃)の襲色目です。

源氏物語では光源氏が心をよせる藤壺の名も、この藤に由来します。

藤の襲を使ってみたスタイリングがこちらです。トーンの異なる紫と青緑が入り混じるZIIINのシャツPRINCEは、紫の襲そのものを表します。

パンツはZIIINのフレアパンツのMIROKで、シャツでは控えめだった緑を補い、色のバランスをとります。

帽子はSCHA #1229 Traveller,,RB。ワックスコットンの乳白色が春夏らしい軽やかさをプラスしています。

他にも白色に近いGUIDIのフロントジップブーツを組み合わせたりすることで、「藤の襲」が作ることもできます。

「紅葉の襲」 美しく色づいていく葉をイメージさせる色合わせ

引用:同上

次にご紹介するのは秋の襲色目「紅葉の襲」です。紅葉の赤や、イチョウの黄色、冬になるにつれて葉が枯れていく様子は茶系統で表します。

先程ご紹介した源氏物語「橋姫」でも、左奥にいる大君が紅葉の襲を着ています。

この「紅葉の襲」を使ったスタイリングがこちらです。

トップスはZIIIN FAUST SAKURA。コットンの柔らかさもあり、全体を優しいイメージにまとめています。

パンツは ZIIIN MIROK COCOA。どことなく土の香りがする独特な色味のブラウンがスタイリングの土台に。アクセントにGUIDIのPASSPORT BAGの紅を差し入れました。

ワイドシルエットのパンツに変えて、Aラインを楽しむことも。
GUIDIのバッグは、ストラップを短くして使うのもおすすめです。

V.O.Fには、他にもZIIIN DARMA GOLDZIIIN UKAGUIDI のSANDALなど、紅葉の襲に使えるアイテムがあるので、好みの濃淡で組み合わせるのも面白いですね。

「山吹の匂い」 アースカラーで表現する自然の美しさ

『源氏物語』第44帖の「竹河」。
引用:Wikipedia

最後にご紹介するのは「山吹の匂い」です。黄色い山吹の花が咲く様子と、側に生える葉を緑で表現しています。

「匂い」とは、同系色の濃淡を使った襲色目のことで、ここからは平安貴族もグラデーションを使っていたことがわかります。

源氏物語では、桜をみる女君たちを覗き見て、恋心を募らせる蔵人少将が描かれた「竹河」で登場します。山吹の匂いは、あたたかな春を感じる色のかさなりです。

ZIIINのサスペンダーパンツTENGUは、肩のストラップを腰に巻いて着用することもできます。
トップス、小物、サンダルの色目を合わせることで、統一感のあるスタイリングに。

そんな山吹の匂いを使ったスタイリングがこちら。

チュニックはZIIIN UKA BEIGE。「匂い」を活用して、山吹の黄色を落ち着いたベージュ系へ応用しました。パンツにはZIIIN TENGUをチョイスして、味わい深い葉の色を表現。

ブレスレットにGUIDI “BLT00B” 、サンダルにGUIDI “BRK06”を使って、トップスとのバランスをとりました。

「襲色目」をお手本に、色の装いを楽しんで

一から自分でオリジナリティのある色合わせに挑戦するのは難しいもの。

そんな時に、奈良・平安時代のトレンドセッターであり、ファッショニスタであった貴族たちがよしとした色合わせ「襲色目」は、とっておきのお手本になります。

今回ご紹介した以外にも、四季折々の自然にまつわる襲色目がたくさんあります。気になる方は私がご案内しますので、店頭に遊びにきてみてください。

<参考文献>
『日本の伝統色 配色のかさねの事典』
『かさねの色目-平安の配彩美』
『源氏物語の色辞典』

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書き手/伊藤 香里菜(CONTEXT TOKYO販売スタッフ)
編集/鈴木 直人(PRESS)