偏愛徒然記#1 私の偏愛それは「染め物」- kune 照井編
偏愛徒然記がはじまります

tops: KLASICA
pants : ZIIIN
shoes: GUIDI
bag :SUZUSAN ×GUIDI
こんにちは。kune店主の照井です。
遅ればせながら皆様のお陰様でkuneは2025年4月で2周年を迎えることができました。この場をお借りして感謝いたします。
ところで、2年間店頭に立ち様々なお客様と出会い話すなかで面白い発見がありました。お店には日々服を愛してやまない人たちがいらっしゃるのですが、「お、これいいね。」と、同じ服でも見ているポイントがそれぞれ違う。
例えば、ボタンを愛してやまない人はボタンのディティールを、タグが好きで集めてしまう人はタグの魅力について語ってくださいます。そうして笑顔で話してくれるお客さんに出会うたびに、私自身の服の見え方や価値観も大分変わりました。

「服が好き」という共通の想い、それぞれ違う「眼差し」。
その面白さから思い立った企画が、タイトルにある「偏愛徒然記」です。服への眼差し(偏愛)を徒然なるままに綴る、ということで名付けてみました。
同じお店のラーメンでも、お客さんによって食べ方が全く異なるのが面白いように、眼差し(偏愛)の多様性にスポットを当てることで、ファッションの持つ可能性や価値、面白さを見つめてみる企画です。
” みなさんは、好きで好きで仕方がない服や気がつくとついつい集めてしまっている服はありますか? ”
今回は第一弾、私の偏愛徒然記です。最後までどうぞお付き合いいただけましたら幸いです。
私の偏愛 – それは「染物」
早速ですが、私の偏愛するアイテムはずばり、、、、「染物」です!「染物」と聞くと、少し派手なものというイメージでしょうか。もしくは、日本の伝統的なキモノに使われるようなものという印象を持っている方も少なくないかもしれません。言葉だけだと一見古臭そうに見える「染物」なのですが、「今」の時代に是非とも着たいんだ!!と思わせてくれる服が実は沢山あるんです。

気づくと集めてしまう染物の魅力。何とも伝え難いこの気持ちをあえて言葉に絞り出すと、キーワードはずばり!「じわ〜っ。」
2つのブランドのアイテムを紹介しながら、皆さんにじわ〜っ。とくる彼らの魅力をシェアしたいと思います。奥深い「染物」の世界へようこそ。
モダンに歴史を染め変えるsuzusan
まず紹介したいのは、僕が染物にハマるきっかけになったブランド「suzusan(スズサン)」のTシャツです。
suzusan(スズサン)は日本の伝統的な「絞り染め」をモダンかつファッショナブルにアップデートしているブランドです。愛知県の名古屋・有松市に制作拠点を構え、企画デザインはドイツで行われています。
▶︎suzusan(スズサン)の 商品はこちらから

「絞り染め」とは、縫製した衣服を糸で縫ったり板で挟むような多種多様な技法を用いて染色し、柄を出していく製法です。

昔から受け継がれてきた伝統的な製法なのですが、特にsuzusan(スズサン)の衣服はモダンで鮮やかでエネルギッシュな雰囲気があります。
今までは、全身黒服のスタイリングしか頭になかった自分に、このsuzusan(スズサン)の衣服は「これを着て外に出て街を歩きたい!」という気持ちにさせてくれました。初めましての着用は海に行った日だったと記憶しています。

それからというもの、「春夏と言えばsuzusanのTシャツ。」と連想してしまう程、春夏が待ち遠しいと思わせてくれる1着になりました。そして、このTシャツがきっかけで白パンへの挑戦や、色合わせを楽しむように自分のスタイリングにもがらりと変化がありました。「自分的服飾史」なるものをもし作るのなら”suzusan Tシャツ以前 ” ”suzusan Tシャツ以後”で区分けをしたい程です。(全く伝わらない)
柄や染めが入った衣服は最初のうちはスタイリングに取り入れるのが難しいかもしれませんが、同じトーンで色を揃えたり、差し色として使ってあげるとカッコよく纏まりますよ。

なにもない道路から日本の絞り染めの名産地として発展していったという歴史をもつ有松ですが、今では約100種類ほどの絞り染め技法があるといいます。

元々は宿場町で日本各地の人が多く集う場所だったことから、当時の人たちは積極的にこの地に訪れてきた人たちの着物の柄を楽しんで取り入れ、気づけば絞りの名産地となっていったそうです。
これ格好良い!と思ったものを純粋に受け入れていく姿は、ファッションを自由に楽しむことにもどこか通じるものがありますね。(有松の歴史とスズサンはこちらから見れます)
実は先日、有松にあるsuzusan(スズサン)のアトリエにお邪魔させていただく機会がありました。先にも述べたように初めて袖を通した時からいつも気分が上がる服だなあと何となく感じていたのですが、その理由が分かりました。
そこでは働く職人さんが笑顔で、時には試行錯誤しながらものづくりを楽しんでいたんです。(もちろん、ものづくりは楽しいことばかりではないと思いますが)言葉を介せずともつくる喜びというものはちゃんと纏う時まで届くものなのですね。
「作り手」そして「受け手」という垣根を越えてみんなが笑顔になるブランドなのだと改めて思いました。纏う自分の心もじわ〜っと嬉しい。
クールに歴史を染め変えていくsuzusan。是非、一度纏ってみていただきたいです。
▶︎suzusanの服はこちらから
心を暖めるPengTaiの漢方染めシャツ
次に紹介したいのはPeng Taiというブランドのシャツです。
Peng Taiは台湾のブランド。古代中国の陰陽五行思想にある5つの要素 (土、木、金属、火、水) をもとに、自然と人間、そして人間と衣服の関係に対してアプローチを行い、緻密なバランスによって表現しています。

現在は自然と人間や都市との関係を追求しながらデザインを行い、メインラインとmedication roomという2つのラインがあります。
▶︎Peng Tai(ペンタイ)の 商品はこちらから

紹介するシャツ、Sb Rn Shirt WORMWOOD & SHOULANG YAMは、「medication room」のラインのものです。このラインでは、薬食同源の教えのもと漢方の力を衣服に込めるというアプローチをとり、身体に良い食材を摂り健康を保てば薬などは必要ではないことを装いに置き換え、漢方で手染めした生地を使ったアイテムが展開されています。

衣服を纏う人に健康でいて欲しいという願いが実は込められているというエピソードを初めて聞いた時に思わず「深イイ話!」と叫んでしまいました。着る前から既に、心がじわ〜っ。と暖かくなりますね。
ちなみに、このシャツの染料の一部に「よもぎ」が使われていたので、漢方の効能を調べてみました。

よもぎの効能は体を温めると言われているみたいで、冷え性の私にもぴったりフィットなのですが、衣服を通して漢方のことを知るというのもなかなか面白いものです。着るたびにいつも手当てをされている気持ちになるシャツです。

初めて着た時にポケットからよもぎの染めガラが出てきたので、押し花にして大切にとってあります。よく古着のポケットからアメの殻やメモが出てくるなんてことがありますが、これは染めものならではのギフトですね。さらに、タグには何やら言葉が書いてあります。

「We make clothes take the mould of breast. however, they mould our hearts, our brains of tongues.」。簡単に訳すと、「人は胸のように目で測れるようなものを型どった服を作る。しかし、衣服は私たちの心、脳、味覚を形づくる。」「感覚を豊かに研ぎ澄ましてくれる衣服」ですって。詩的でロマンチックですね。
まとめ– 人の「温もり」を纏う
日本の文化では、男の子には虫除けの意味を込めて藍染めの衣服、女の子には血行をよくするために茜染めの衣服を纏わせたなんて、諸説言われたりしています。

染め物は様々な人の営み、ひいては「心」が映し出されているからこそ、長い年月を経て今の時代に残り、そして、未来へアップデートされているのかもしれませんね。これが僕がじわ〜っと染め物が好きな理由です。染物は見た目も格好良く、着用することで色褪せやアタリがでてくるところも(特に天然染めは特徴のひとつ)、グッとくるポイントです。

時間の形跡の美しさ浮かび上がる
長く着たんだなあと思わせてくれる表情がとても良いですしね。何とも言えない表情に育つ姿は、一度手にしたら手放せません。しかも、手染めとなれば全て一点もの。そのため、クローゼットにいろんな染め物たちが大集合してしまうのです。
私が店主を勤めている『kune』のコンセプトは“Wear the Terroir(風土を纏う)”です。店舗ではその土地の香りや個性が出てくる面白い「染物」も含めた様々なブランドを紹介するようにしています。
今回のジャーナルが染物に袖を通した時のじわ〜っ。とした喜びや高揚感に触れるきっかけになってもらえたら嬉しいです。
次回の「偏愛徒然記」は、「私の偏愛するデニム」について乙景 STAFF/ 山口に熱く語ってもらいます。どうぞお楽しみに!

kune店主 照井の染物おすすめブランド一覧
▶︎suzusan(スズサン)の 商品はこちらから
▶︎Peng Tai(ペンタイ)の 商品はこちらから
▶︎YOKOSAKAMOTO(ヨーコサカモト)の 商品はこちらから
▶︎T.T(タイガタカハシ)の 商品はこちらから
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