【ZIIINデザイナーインタビュー】ディテールが生み出すスタイリングの“重心”とは? – リネンカットソー“AVENO”徹底解剖

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【ZIIINデザイナーインタビュー】ディテールが生み出すスタイリングの“重心”とは? – リネンカットソー“AVENO”徹底解剖

夏の風物詩であるセミでさえ、あまりの暑さに朝と夕暮れ時にしか鳴かないと言われる中、「何を着たらいいのか」と装いに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

服好きとしては「涼しいだけの格好」をするわけにもいきません。やっぱりきちんとおしゃれはしたい、でも暑い。そんな方におすすめしたいのが、V.O.F発のブランドZIIINのリネンカットソー“AVENO”です。

ZIIINのファーストシーズンである20SSに登場した、ベルギー産のウォッシュドリネンで作られたカットソー“AVENO”。21SSではニューカラーが仲間入りしました(7月にはグレー、8月にはブラック)。

今回はZIIINデザイナー、中村憲一に直接インタビューを実施。なぜAVENOが「涼しいだけでなく、きちんとおしゃれもできるカットソー」なのかを、徹底的に掘り下げました。

ウォッシュドリネンの陰影がもたらす“品”

カットソーなのにAVENOにはどこか品がある。それはなぜなのか?着用しているのは8月にリリースされたBLACK。
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__僕はシャツをたくさん持っていて、夏でも長袖シャツを着ることが多いのですが、なぜかというとカットソーを着るとどうしても子供っぽく見えるからなんです。でもAVENOは同じカットソーでも品があります。これはどうしてなんでしょうか?

リネンが持つ光沢や凹凸、繊維の密度が生み出す陰影じゃないでしょうか。特にAVENOでは生地の段階で洗いをかけたウォッシュドリネンを使っているので、生地の表情により深みが出ます。

__コットンとは全く違いますよね。

コットンにはコットンの良さがありますが、リネンの良いところは繊維の密度が低く、いわば生地に無数の穴が開いていて、かつ細かい凹凸があるというところです。

おかげで今言ったような陰影が生まれますし、通気性がよく、肌との接地面が少なくなるので、サラリと涼しく着られるのです。

__まさに「涼しい」と「おしゃれ」を両立できる。

そうですね。あとは、AVENOはタックイン(パンツの中に裾を入れる)して着ても様になるので、そのぶん大人っぽい着こなしもしやすいと思います。

__確かにAVENOはシンプルなカットソーなのに、着こなしの幅が広い印象です。

タックインすると、より上品な着こなしに。着用しているパンツは、ZIIINのテーパードパンツMASAMUNE。
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タックアウト(パンツから裾を出す)すればより涼しく、カジュアルに着られますし、着丈がたっぷりあるのでタックインしても、変なところから裾がはみ出たりしません。細身の方は裾を縛って着ることで、ユニークな着こなしをすることもできます。

人によって、または気分によって着方を変えるのがスタイリングだと思うので、AVENOにはそういった余白を持たせています。

「少しだけ下にあるポケット」が生み出すスタイリングの“重心”

__カットソーの難しさに、パンツとのバランスがあると思います。僕自身、JAN JAN VAN ESSCHEやZIIINのワイドパンツを履くようになって、これまで着ていたカットソーがうまくハマらなくなってしまって。でもAVENOだとバランスがとれる。これはなぜですか?

重心じゃないでしょうか。JAN JAN VAN ESSCHEやZIIINのワイドパンツは、足元に生地がたまったり、股上が深かったりと、重心が下の方に来ることが多いですよね。

だからトップスも丈が長かったり、袖が長かったり、重心が下にあるものの方がバランスが取りやすいんです。

__しかし、オーバーサイズなだけのカットソーだとまだバランスが悪いというか……。なのにAVENOだとパチっとハマるような感覚があって。

やはりポケットじゃないでしょうか。AVENOのポケットは一般的なポケットTシャツよりも少しだけ下にあります。これが見る人の目線を下げるので、結果としてスタイリングの重心が下がるのです。

一見シンプルに見えるZIIINの衣服。しかしそこには慎重に考え抜かれた足し算と引き算の美学がある。

__たったそれだけのことで、スタイリングが違って見えるものなんですか?

意外とそういう目線というのはすごく大事です。そしてその目線を動かすのは、ポケットの位置や襟の形といったディテールなんです。例えば、ほら(ポケットを手で隠して見せる)。

__ああ!全然印象が違いますね!こうすると目線が襟元に行ってしまうので、重心が上がるような気がします。

ほんの少しのことなんですが、大きく変わりますよね。これがディテールの面白さです。私はモノで完結するディテールではなく、スタイリング全体に作用するようなディテールを作っていきたいと思っています。

なぜなら実際にZIIINを着る人たちと共感し合いたいからです。

そのためには着た時に「なぜだかカッコいいですよね」と思えるような、スタイリングに直結したディテールである必要があるのです。これはAVENOだけでなく、ZIIINのデザインそのものに通じる考えですね。

__ZIIINの衣服を見る目が変わりそうです。今回も興味深いお話をありがとうございました。

【AVENO GRAYの販売ページはこちら
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<NEWS>
【新入荷】
・東西各店にてJAN JAN VAN ESSCHE 2021-22AWコレクションが販売開始。
・CONTEXT TOKYOではedwina horlの2021-22AWコレクションが新入荷。

聞き手/鈴木 直人(ライター)
語り手/中村 憲一(ZIIINデザイナー)