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「土地の香りがするものを纏う」 – ZIIIN homespun シリーズのハナシー

クウネの冬の景色

kuneスタッフの照井彪斗です。いよいよ年の瀬。皆様いかがお過ごしでしょうか。
こちら岩手は雪がもりもり積もり、冬の厳しさと同時に自然の美しさを感じる今日この頃です。
先月ローンチされたZIIINの新作、homespun(ホームスパン)シリーズ。今回はkune店主兼ZIIINのデザイナーである菊地に制作背景をインタビューしました。

そもそもhomespunとは?

__まずはhomespunの言葉の意味や歴史的な背景について詳しく教えてください。

菊地:homespunとは元々「home(家)」と「spun(紡ぐ)」という意味があり、「羊毛を手で紡いで手織りしたもの」が一般的な定義になっています。

元々はイギリスで発達してきた文化で、日本では防寒用として毛織物をイギリスから輸入していたのですが、日清・日露戦争の影響で輸入できなくなったことで自国で羊毛を作ることが推進されたのが始まりです。

農村地域が広がる岩手では農閑期(秋〜冬の時期)に女性が織物をする文化が根付いていたこともあり、羊毛を紡いで機織りをするhomespunが無理なく受け入れられていきました。

古いホームスパンの生地見本

今では、個人で作家活動をされている方から昔からの伝統を守り続ける工房、手紡ぎ手織りという定義を飛び越えて機械織りで新たな表現に挑戦する工房まで、多種多様な紡ぎ手・織り手がいます。

人を惹きつける魅力がhomespunにはぎゅっと詰まっていると言えそうです。

岩手でhomespunを定着させた及川全三氏の羽織り


home spunとの出会いは?

__homespunの技術は海外から渡ってきて、東北の人たちがそれを発展させていったんですね。この生地との出会いはいつ頃で、どんなきっかけがあったんですか?

菊地:kuneのある岩手県は、私の出身地でもあります。岩手を拠点に活動していくからこそ、東北の風土を感じるものを作りたいという想いがありました。

実際にhomespunに触れたのは二年程前。ホームスパンの工場にお邪魔して生地サンプルを見せてもらったんです。あまりの生地の良さに興奮してずっと生地サンプルをちねちねしていました。

ここなら自分がしたかったデザインができるかもしれないと思い、そこからオリジナルの生地制作がスタートしました。 

ZIIINだけではなく、ブランドの買い付けの際も「土地の香りがするもの」や「デザイナーのアイデンティティを感じるデザイン」が僕は好きで選んでいます。

寒さの厳しい東北の冬に根付いた暖かく素朴なhomespunの生地には岩手の風土がしっかり表現されています。

工場内の風景

__約二年間の月日を経て、今年の冬にようやく皆様にお披露目ができたわけですね。工場の方と話していて印象に残っていることはありますか?

菊地:そうですね、作り手の方達との対話を通して、homespunの新しい表現を発見できたのは嬉しかったです。
今までhomesupnには、クラシックで目がしっかりと詰まったツイード生地のようなイメージを持っていました。
しかし工場の方との対話を重ねる中で、homespunがより活きるのは「緩めの中密度な生地ではないか」という話になったんです。

そこから、軽く纏えて暖かい生地という発想に変わっていきました。

あとは「民藝的な美しさ」を感じるような生地にしてほしいと伝え、素朴で使いやすい配色や生地の細かなニュアンスについて話し合いました。こうしたやり取りを重ねて今回の生地が完成しました。

東北の素朴さを感じながらも、品のあるラグジュアリーな雰囲気を併せ持った表情がとても気に入っています。

ZIIINオリジナルのhomespun生地

__東北の手仕事を現代の暮らしの中に。店頭でも早速好評をいただいているようです。今回はこの生地を使って2型デザインされたんですね。

菊地:今シーズンは、ノーカラージャケットとマフラーを作りました。BrownとBlackの2色展開になっています。マフラーは二巻きできるほどの長さに仕上げ、アクセントにフリンジを。自由に巻いて楽しんでもらいたいですね。
マフラーはこちらからご覧いただけます

ジャケットは、さっと手に取って軽やかに羽織れるようにZIIINのGOKUHをベースに仕立てました。
裏地はつけずローゲージニットの上やはたまたコートのインナーなど。
ノーカラージャケットですので、幅広いスタイリングに対応してくれます。車の乗り降りの際にサッと羽織るなど、カーディガン感覚で着てもらえると嬉しいです。
ジャケットはこちらご覧いただけけます

__僕も早速愛用しています。すでに多くの方にもお買い求めいただいているようで、嬉しい限りです。既に手にされた方や、homespunについて気になっている方にも楽しんでいただけるようなお話をありがとうございました。

紡がれてきた技術をデザインに昇華して伝える

ある地方に出かけた際に、その土地の伝統技術を活かしながらも、モダンなデザインに落とし込んだ衣服を誇らしげに着て歩く人たちを見かけたことがありました。とても自然で美しい景色でした。

東北の厳しい冬の寒さの中に継承された技術と知恵を紡いできた”homespun”という文化。
この文化を軸に集まる人たち、岩手の街にhomespunを着て歩く人たちがもっといたら嬉しい、そんな想いを抱くことがあります。

東北や岩手という目線だけではなく、日本の誇れる生地の中の一つにhomespunがあります。それが結果として広まっていくことで文化の発展に繋がれば嬉しいです。
そして、着てくださる方々にとって、特別なモノになってもらえると嬉しいです。

今後も私たちのブランドの中でもhomespunが憧れとして思ってもらえるように、伝統やルールに縛られず、さまざまな角度からhomespunの可能性を提案していきたいと思います。

参考文献:まちの編集室,HOMESPUN in IWATE,2015
話し手:菊地央樹
聞き手・書き手:照井彪斗(kuneスタッフ)

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※営業再開は2024年3月30日(土)予定ですが、ご来店希望の場合は、インスタグラムDMからご予約いただければ、ご対応可能です。

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