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【ZIIIN 21-22AW】デザイナーインタビュー – パンツ・スタイリング特集

“時在_TOKIARI”をテーマにクリエーションを展開した2021-22AWのZIIIN。前回は【ZIIIN 21-22AW】デザイナーインタビュー テーマと今季の素材についてと題し、デザイナー本人の口からコレクションについて語ってもらいました。

しかし前回の記事であえて取り上げなかった、ZIIINにおいてとても重要なアイテムがあります。それはパンツです。パンツはシルエットの土台となる重要な要素。そのためZIIINのデザイナー中村憲一は、パンツにはとりわけ心血を注いで洗練させてきました。

今回はそんなZIIINのパンツのうち、今季を象徴するヘンプウールの生地を使用した3型(MIROK、VENKEI、DARMA)について、スタイリングのポイントなども含めてインタビューしました。

すでにZIIINのパンツをお持ちの方も、これからZIIINを買ってみようかとお悩みの方も、参考にしていただければ幸いです。

“MIROK 21AW” BAGGY PANT

__まずはMIROKを土台に、今季の新作カットソーWARHOL、定番のロングシャツANGOを組み合わせたスタイリングから説明をお願いします。

中村:MIROKは去年の秋冬から3シーズン目になるフレアパンツです。ウエストはイージーパンツ仕様で、見えても様になるドローコード(腰紐)として作った“オビベルト”を使用しています。

__オビベルトを右にずらして結ぶ着こなし、やっぱりいいですね。

中村:もともとイージーベルトという考えなので、センターに合わせているのですが、このパンツに限っては、右にずらして結ぶのがエレガントに見えると思います。センターもスッキリしますし。

__去年のシーズンから変更点はありますか?

中村:太もものあたりをほんの少しだけ細くしました。裾の幅は変えていません。フレアのシルエットがより強調されるような変更ですね。

__生地は去年の秋冬に使っていたヘンプウールと同じということですが、こうやって履いてみると若干ドレッシーになった気がします。

中村:去年はチャコールグレーと赤みの強いブラウンだったのに対して、今年はブラックとブラウンブラックでよりトーンが落ち着いているからでしょうね。シックな色味なので、去年にも増して使いやすくなっていると思いますよ。

__なるほど!ただ、やはりMIROKは他のモデルに比べてハードルが高めのような気がしていますが、そのあたりはどうでしょうか?

中村:確かに、他のモデルと比べると挑戦的なモデルかもしれません。でもスタイリングの仕方によっては「フレアパンツに挑戦したいけど、ちょっと勇気が出ない」という人にも履きやすくなりますよ。

__どういうスタイリングですか?

中村:こうやってロングシャツとかロングコートと合わせるんです。すると、フレアシルエットの一番シェイプされている部分が隠れながらもフレアがチラッと見える。男性にとって、フレアはちょっと冒険かもしれませんが、このシルエットはかなり新鮮に感じるはずです。

__ANGOは全部ボタンを留めて着るスタイリングもかっこいいですが、こうやってシャツコートのように羽織るとより扱いやすくなりますね。

中村:ロングシャツのANGOは難しいと思う人も多いようですが、ポケットもなければカフスや肩にギャザーもなく、背中のタックもない、極めてシンプルなシャツです。だから着こなし次第でいろいろな楽しみ方ができます。シャツジャケットのように着てもいいですしね。

MIROKの方は、合わせる靴も自由に遊んでみてください。革靴はもちろん、ジャーマントレーナーやコンバースみたいなスニーカーと合わせると格好良いですよ。

私は、ブラックジャーマンを合わせるのが最近のお気に入りです。ぜひ店頭スタッフと試行錯誤しながら楽しんで欲しいですね。

“VENKEI 21AW” HEMGATHER PANT

TOP:“WARHOL 21AW” BOTTLE NECK CUTSEW
SHIRT:“OSCAR 21AW” HIGH NECK COLLAR SHIRT / KHAKI
PANT:”VENKEI 21AW” HEMGATHER PANT / BLACK(SOLDOUT)

__続いては今季初登場となるヘムギャザーパンツのVENKEIに、同じく初登場のハイネックカラーのシャツOSCAR、そしてボトルネックカットソーWARHOLを合わせたスタイリングについて解説をお願いします。

中村:VENKEIはMIROKやこの後紹介するDARMAと同じ素材のヘムギャザーパンツ―――つまり裾にゴムを入れてシルエットをキュッと絞ったパンツです。

このシルエットは近年のウィメンズに見られるものなんですが、同じことをメンズでやってみようということで作りました。裾に向かって広がるMIROKとは正反対のパンツと言えます。

__Aラインシルエットを作りやすいMIROKに対して、VENKEIはVラインシルエットが作りやすいパンツですね。店頭では合わせやすいと好評で、すでに先行入荷のBLACKはSOLDOUT、現在は最近入荷したもう一色のBLOWN BLACKを残すのみという状態です。

中村:嬉しいですね。おそらく、太さもちょうど使いやすいのだと思います。ZIIINの定番パンツであるDARMAは3タックのスーパーワイドですが、VENKEIはもう少しコンパクトにした1タック。横から見たシルエットもスマートになるよう作りました。

タックが太もも中央に入るので、視覚効果で足が長く、細く見えるという仕掛けもあります。

__名前のVENKEIはどこから?

中村:このパンツのシルエットは、昔の日本人が戦いや狩りに出かける時に着ていたものに似ているんです。もともと京都・比叡山の僧だったといわれる武蔵坊弁慶の装束にも類似したパンツが描かれていて。

__当時の軍人は、かなり太めのパンツの裾を脚絆と呼ばれるスネに巻く布でまとめていましたが、そのシルエットは確かにVENKEIとよく似ています。

中村:加えて、武蔵坊弁慶が源義経と出会ったとされる五条大橋は京都店の乙景からほど近い場所にあり、縁を感じていました。そこでこのパンツには、VENKEIの名前をお借りすることにしたんです。

__そういったイメージのパンツだからか、今回スタイリングに使ったGUIDIのマウンテンブーツとも相性がいいですね。先日のブログでも触れていますが、もともと狩りや戦いに使われていた靴だからこそ、VENKEIと合うのかもしれません。

中村:戦わなくてもいいんだけど(笑)、ぜひアクティブなイメージで履いて欲しいですね。

__今回そうしたイメージのVENKEIにハイネックカラーのOSCARを合わせたのはなぜですか?

中村:VENKEIと対照的なアイテムだからです。OSCARは前回話したように、作家のオスカー・ワイルドから着想を得たシャツです。彼のイメージはエレガントな大人の男。だから上品に見えるよう首を隠したデザインにしています。

シルエットも基本的にはゆったりしているのだけど、首元と足元をキュッと絞ることでメリハリができて面白いと思いますよ。

__アクティブなVENKEIとドレッシーなOSCARのギャップを楽しめるスタイリングなんですね。

中村:デザインの組み合わせではギャップを作りましたが、素材のテイストでは調和を持たせているのもポイントです。OSCARに使われている生地が温かみのある播州織で、VENKEIもそれに近い素朴な風合いのヘンプウール生地だからバランスが取れているんです。

“DARMA 21AW” 3 TUCK WIDE PANT

__最後に紹介していただくのは、個人的にZIIINの定番アイテムの中でも“THE BOSS”というイメージのパンツDARMAを使ったスタイリングですね。シャツには新作のロングポイントカラーシャツBEARSLEY、インナーにはここでもWORHOLが使われています。

中村:今季のDARMAは2021SSよりもさらに少しだけ丈を短く、裾を細くしました。前は階段で裾を踏んづけることもありましたが、今回でかなり改善されたはずです。

__他の変更点はなし?

中村:はい。ウエスト周りは全く同じです。良さはそのままに、着用時の課題を解決したという感じです。

__DARMAはZIIINの中でも、もっと言えば他のブランドのパンツと比べても、かなりのワイドシルエットですが、これにはどういったメリットがあるのでしょうか?

中村:簡単に下半身にボリュームが出せるので、Aラインシルエットを作るにはものすごく使いやすいんです。履くだけでシルエットにどっしりとした土台ができるから、上に何を合わせても様になる。老若男女、着る人の体型を選びません。

私はZIIINのエントリーモデルとして考えていて、裏の処理までこだわって作っています。太いパンツが好きな人はもちろん、苦手という人ほど履いて欲しいですね。

__DARMAにBEARSLEYを合わせたのはどうしてですか?

中村:DARMAはどうしてもシルエットが緩くなるので、バランスをとるためにトップスにクリーンなイメージのものを合わせました。BEARSLEYのロングポイントカラーは少年と大人の間のある限られた季節から香る色気をイメージしています。

着想源になった画家のオーブリー・ビアズリーはオスカー・ワイルドの『サロメ』に挿絵を描いた人物ですが、当時の彼は若かった。だから首を隠して大人らしさを表現したOSCARに対して、BEARSLEYでは強調した襟の清廉さと首元から出る色気、そのバランスでしょうか。

__確かにこれがシンプルなレギュラカラーだったり、小さめの襟だったりすると、どちらかというと少年らしさが出てしまいます。一見地味に見えて、絶妙なバランスで作られたシャツなんですね。

中村:3タックの大きく生地が揺れるDARMAを、BEARSLEYの若々しさでシャキッとまとめるイメージです。

__こうやってバランスを取ると、“やりすぎ”感がでなくていいですね。

中村:あと、実は名脇役を果たしているのがWORHOLです。私の中で、パンツの色とインナーの色を合わせるのが基本だと思っていて、WORHOLと今季のZIIINのパンツを合わせると自然にこの基本を守ることができるんです。

__確かにハイネックですから、首元なり胸元に必ず黒が出て、パンツの黒と一体感がでますね。

中村:ファーストレイヤーに統一感を出すだけで、あとは上に何を着てもある程度成立するようになります。WORHOLは一見目立たないカットソーですが、実は今季のスタイリングのベースになっているんです。

__このカットソーの生地、めちゃくちゃ肌触りが良いですよね。

中村:100%オーガニックコットンで編み立てられた、ふわふわの生地を使っています。また襟と見頃に縫い目のあるタートルネックと違って、縫い目のないボトルネックなので、胸元がよりシンプルに見えます。

__ZIIINの中では珍しく体型にぴったりと沿うフィッティングですが、これには理由があるのでしょうか?

中村:あくまでインナーとして作っているからです。今回紹介したようにシャツのインナーにする際、ゆったりとしたフィッティングではシャツの中でごろついてしまいます。だから、まるで二番目の肌のように体に沿う作りにしました。

この時に肌触りが良くないと着る気にならないので、素材にも徹底的にこだわったんです。一見繊細な生地にも見えますが、洗濯を繰り返してもなかなかにタフ。ぜひヘビーユースして欲しいですね。

__スタイリングのベースにもなって、肌触りもめちゃくちゃ良い。意外とこういうカットソーって見つかりませんよね。カットソーに悩んでいる人には、ぜひWORHOLを検討いただければと思います。

今日はお忙しいところありがとうございました。

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<NEWS>
【新入荷】
・ZIIINの2021-22AW COLLECTIONが東西各店に入荷。

書き手 /鈴木 直人(ライター)
語り手 /中村 憲一(ZIIINデザイナー)