JAN-JAN VAN ESSCHE“KHAYAL”に込められた「人間だからこその想像力」への願い

東京・CONTEXT、京都・乙景、花巻・kune。V.O.Fの各店で多くのお客様を魅了しているJAN-JAN VAN ESSCHE(ヤンヤンヴァンエシュ)2025SS “KHAYAL”。
日本やインドで伝統的な手仕事からインスピレーションを得たJan-Jan Van Esscheが、彼にしかできない方法で「想像すること(khayal)」を表現したコレクションです。
今回はCONTEXT TOKYO店主・伊藤にインタビューを行い、JAN-JAN VAN ESSCHEのクリエイションを紐解いていきたいと思います。
“KHAYAL”―――過去を起点に今・未来に思いを馳せること
__まずは今シーズンのテーマ“KHAYAL”から始めましょうか。
伊藤:“KHAYAL”はカヤールと読みます。この言葉はアラビア語、ペルシャ語、ウルドゥー語という別の言語の中で「想像すること」という共通の意味を持つ言葉なのだそうです。
Jan Janは今回のコレクションを「過去を体験しながら、未来に向かって想像するための招待状です」と紹介しています。
__伊藤さんは、そのメッセージをどんなふうに受け止めましたか?
伊藤:過去と未来の間に生きる僕たちにとって、どう考え、どう行動するということはすごく大事なことだと思っています。なぜならそれが、何を未来に残せるかを左右するからです。
JAN-JAN VAN ESSCHEのテーマは毎シーズンすごく概念的ですが、毎回深い味わいがあります。“KHAYAL”も、僕にとってはとても心に響くテーマですね。
__確かに、具体的な哲学思想や歴史をイメージさせるZIGGY CHENに対して、JAN-JAN VAN ESSCHEはより普遍的な、「人間として/人類として」といったマクロな視点をコレクションテーマに選ぶ傾向があるように思います。

伊藤:2024-25AWのテーマは“BEYOND”(越える)でしたが、そこからのつながりも感じます。“KHAYAL”という概念の中には“BEYOND”と同じ、「前に向かって進んでいくエネルギーの必要性」が含まれているような気がしています。
実際、今シーズンの作品や使われている生地の中には、過去から未来に向かう想像力を感じさせるものがたくさんあります。
“完璧な美しさ”が陳腐化する時代における《手仕事》の価値
__「過去から未来に向かう想像力を感じさせるもの」というのは?
伊藤:ではまず、今シーズンらしい生地を紹介するところから始めましょうか。
LINEN DOUBLE CLOTH PUZZLE

伊藤:これはJan Janたちが昨年来日した時に工場を回る中で見つけた「PUZZLE」という生地です。
__JAN-JAN VAN ESSCHEの中ではかなり珍しいというか、新鮮な柄ですよね。
伊藤:かなり新鮮ですよね。本当は「TET○IS」という名前にしたかったらしいんですが、「ニンテ◯ドーのスポンサーにはなれないから諦めたんだ」とジョークを言っていました(笑)。
それはさておき、実はこの生地、すごくトラディショナルな生地なんですよ。
__そうなの!?
伊藤:すごく古い、日本に1台しか残っていない織り機で作られる生地なんです。
1枚の生地なのに二重になっていて、指で擦るとズレる感覚がある、すごく不思議なファブリックで。
__空気を含んでいるように見えるのは、そういう構造だからなんですね。
伊藤:6色の糸を組み合わせた複雑なジャガードで立体感がありますよね。これは日本の伝統的な技術が生み出す風合いなんです。
ちなみに、この「PUZZLE」の生地からこの“KHAYAL”のイメージが膨らんだそう。旅の始まりを告げた今シーズンを代表する生地です。
COTTON SILK CANVAS ARMY GREEN

伊藤:その同じ工場で作られたのが、COTTON SILK CANVAS ARMY GREENです。
__粗野な中に上品な光沢があるのは、シルクが入っているからなんですね。
伊藤:これも70年以上前、1950年代に作られた初期のシャトル織機で織り上げられる生地です。
この手の色はどうしてもミリタリーのイメージがつきまといます。今シーズンは軍ものからインスピレーションを得たと思わせる作品が多いので、下手をすると一気に素朴で無骨なテイストになりかねません。
しかしこの生地はARMY GREENと名付けられてはいるものの、その美しい光沢感が一つひとつの作品をあくまでエレガントに、あくまで都会的に仕上げています。
一見モダンでテクニカルに見えるのですが本質的には伝統的な織りで、過去のデザインを、伝統的な技術や機械を使って、現代のものとして作り変える。「さすがJAN-JAN VAN ESSCHE!」と言いたくなる表現です。
TIME WASHED CANVAS BLACK

__今シーズンの生地の中では、TIME WASHED CANVAS BLACKが印象的でした。
伊藤:これはもともと、軍用品に使われるような、バリッとした目の詰まったコットン生地だったそうです。それを愛知・一宮の工場で、化学薬品を一切使わずに旧式の洗濯機の中で1日中洗い続けたのがこの生地です。
この製法もまた、昔からある伝統的な加工方法なのだそうです。
__やってることヤバいって……。
伊藤:独特な起毛感とアタリ感、ぬめりけさえ感じる肌触り……。若干の撥水性があるんですが、水を弾くというよりは濡れても水分が浸透してこないという生地です。
ゴアテックスなんかがまだない頃の、先人の知恵ですよね。ナチュラルテックです(笑)。
COATED CLOTH TAR BLACK

伊藤:この生地も面白いですよ。
__なんですか、この茶色いような、黒いような、独特の色合いの生地は……?
伊藤:天然染料でありながら、抗菌性や防腐性、防虫性などがある柿渋の染色液をジャム状にしてコーティングをした生地です。
柿渋染は平安時代から日本で受け継がれてきた染色方法で、「ジャム染」と呼ばれるこの技術も古くから伝わっているそうです。
__質感も独特ですね。
伊藤:コットン100%とは思えない、パリッとしたドライな質感ですよね。鈴木さんがおっしゃる通り、光を当てるとどことなくブラウンのニュアンスが滲み出る、深みのある黒が魅力の生地です。
見た目は古いオイルドの生地のような重厚感があるのですが、実際はすごく薄いドライな質感のコットン生地で、高温多湿な日本の夏にも最適な生地だと思います。
SUMI DENIM AIZOME OVERDYED

__こうやって聞いていると、今シーズンの生地は日本の古い技術がてんこ盛りなんですね。
伊藤:そうなんです。一部の特別な生地を除くと、ほとんど日本の生地が使われていて、いずれも職人に対するリスペクトや伝統・人間らしさを感じられるラインナップになっています。
SUMI DENIM AIZOME OVERDYEDはその代表と言っていいかもしれません。
これも日本の旧式の織り機で織り上げたデニム生地なのですが、コットン58%、ヘンプ42%のざらりとした荒々しさを残した生地で、墨染を施した縦糸で織り上げた生地に藍染を重ねてあります。
古い日本の腰掛け(エプロン)に見られるような、深いブルーです。
__すごい迫力のある生地ですよね。
伊藤:墨のグレーと発酵した藍が重なり合う深い色味が美しいですよね。
生地は長さ3.5メートルのパネル状に裁断し、日本の藍染め職人によって天然発酵藍染で手染めされるんだそうです。
染色と酸化のプロセスを繰り返すことで、深みのある色が実現するようで、その時の手染めのアタリの出具合によって、藍の入り方が変わり奥行きが生まれます。
アタリが強い部分は綺麗なブルーに染め上がり、アタリがそこまで出なかったところは、藍が深くまで入るので黒に近い色になります。
なのでデニム生地の裏面をよく見てみると、白い横糸が藍染の青を吸収し、グレーの縦糸とは異なることがわかります。
__まさに「手仕事」って感じですね。
伊藤:昔の日本では黒を表現するために、藍染の上から墨染を施していたそうです。この生地からはそうした日本の伝統や美意識が滲み出ています。ここでもやっぱり、過去から未来への眼差しを感じますよね。
アーティスト集団“7WEAVES”とのコラボレーション

伊藤:今回はバイイングしていないのですが、インドのテキスタイルアーティスト集団“7WEAVES”とのコラボレーションのシリーズ(ERI SILK HANDWOVEN)にも、触れておきたいです。
__今シーズンのコレクションイメージにも登場した生地ですね。
伊藤:“7WEAVES”はインドのアッサムで、先住民からの伝統文化、知識、織りの技術を保護するための社会プロジェクトとして立ち上げられたプロジェクトです。
その日の感情や天候などを生地に織り込むことで表現する7人の女性によるアーティスト集団で、全てが手紡ぎ・手織りです。
今シーズンのERI SILK HANDWOVENシリーズは、彼女らの作品をアントワープのJAN-JAN VAN ESSCHEのアトリエで一着一着縫い上げて作ったそうです。
最初は手縫いで作ろうともしたらしいんですが、「原始的な方法で生み出された生地を、原始的な方法で縫い上げてしまったら、ただの“古い服”になってしまう」と考えたJan Janは、あえてミシンを使うことを選んだのだと話していました。
過去からの伝統を未来に連れて行こうとするバランスがここでも見て取れます。
「手仕事=人間の証明」の時代がやってくる
__今シーズンのJAN-JAN VAN ESSCHEは、「手仕事」とか「不完全な美」みたいなところがキーワードなんですね。
伊藤:AIがもっと発達すれば、「知識」「完璧な美しさ」で人間を圧倒していく時代はすぐにやってくるでしょう。そうなった時に、人間が人間である意味というのは、こうした「手仕事」とか「不完全な美」の中に宿るんじゃないでしょうか。
“KHAYAL”のコレクションは、そうした昔からある伝統的な技術や美しさ、豊かさを未来に残していくためのものでもあるのだと思います。
想像がめぐる服「あなたはこれを、どう着るか?」
今シーズン、“最初”に生まれた作品

JAN-JAN VAN ESSCHE GREETING EVENT (2025.03.07)
__そういえば、先月の上旬にJan JanとPietroがお店に来てイベントを開催していましたよね。
伊藤:はい、急な開催だったにもかかわらずとても多くのお客様にお越しいただきました。
CONTEXT TOKYOでのイベントの日、Jan Janがデザイン画を描いてひとりひとりにプレゼントしてくれたんです。
彼のデザインはこのデザイン画から始まります。彼はこれを、頭では全く何も考えず、ただ腕が自然と動くまま、漂うように描きます。
その後何日か寝かせたあと、改めてそれを見て「これだ!」と思うものからイメージが浮かばせ、それを服に起こしていく、という制作方法をとっています。
普段は墨とウォルナットを水で溶いたものを使うのでモノクロなんですが、今回のイベントではカラフルなものを描いてくれました。

__ずっとモノクロのものを見ていたから、なんだか新鮮です。
伊藤:そうなんです。いつもはカラーで描くことはないそうですが、今回は色を用いて描いてみたそうです。
今シーズンは、「みんなに旅に出て欲しい」とJan Janが言っていたのですが、挑戦すること、一歩踏み出すことの大切さが伝わります。だからこそカラーに挑戦してみた、とのこと。
色々な色を重ねて描いていくので、イベントの最初の方は鮮やかで透き通った色合いのデザイン画が生まれ、イベントが終わりに近づくにつれて、海の中に潜ったような深みのある色合いのデザイン画が生まれていました。
たった1日のイベントでしたが、Jan Janの描くデザイン画からは、若いからこそのエネルギーから年を重ねた後の成熟した滋味まで、長い年月の変遷を感じましたね。
__これだけでも十分作品になるくらい、素敵なデザイン画ですね。
伊藤:イベントの中でJan Janが教えてくれたのですが、“KHAYAL”で最初に生まれたデザイン画をもとに作られたのが、TUNIC#38だったんだそうです。

__いつもより、袖がかなり太く作られていますね。
伊藤:そう、だいぶん着物に近いシルエットになっています。でも着るとどこかメキシカンパーカーを思わせる雰囲気もあったりと、面白い一着です。
スリットの入った袖口をロールアップしていくと、中からベルトが出てきて、袖についているボタンに止めることができます。この時の丈感やシルエットが春夏にちょうどいいバランスです。
__え゛!め゛っち゛ゃか゛わ゛い゛い゛……。
伊藤:す、すごい声が出ましたね(笑)。
__Vネックがすごく美しいですね。
伊藤:これまでのJAN-JAN VAN ESSCHEのVネックは、日本人の感覚からすると「深すぎる」と思うこともありましたが、今シーズンは1枚で着ても違和感がありません。袖口がすごく広いので風の通りもいいし、暑い季節でも快適に過ごしてもらえるはずです。
__エスニックな雰囲気もありながら、ちゃんとエレガンスもある……ほ゛し゛い゛!
伊藤:またWRINKLED CLOTH EARTHはビスコースとコットンの生地なんですが、すごくとろみがあって、肌触りが良いんですよ。このくすんだベージュと、COATED CLOTH TAR BLACKのパンツなどを合わせると……最高ですよ。
__え、うわ、だっっっっっる……可愛すぎて、もうだるいですよ、伊藤さん。
伊藤:鈴木さん、言葉遣いが、オフモードになってますよ(笑)。
__はっ!す、すみません(汗)。
TUNIC#38 FINE STRIPE CLOTH BLACK

伊藤:ちなみにこのチュニックは同型で黒もあります。こちらのFINE STRIPE CLOTH BLACKは打って変わって硬めの生地。
WRINKLED CLOTH EARTHが「素朴」なら、こちらは「洗練」という言葉が似合います。シルエットの綺麗なスラックスなどと合わせると、とても都会的で素敵ですよ。
このショートチュニックは、展示会の時にPietroがかっこよく着こなしていたのが印象に残っています。

__チュニックはロング丈のものもあるんですね。
伊藤:TUNIC#39ですね。
__しっかりとロング丈なのに、どことなくスッキリして見えますね。
伊藤:襟がついていたり、ハンドポケットをJAN-JAN VAN ESSCHEのコートにお馴染みの入れ子構造にしていたり、随所にコートのディテールを取り込んでいるからだと思います。エスニック感がなく、モダンな印象に着地しているのはそのせいです。
個人的には、このチュニックにはTIME WASHED CANVAS BLACKのパンツを合わせるのがベストだと思っています。
__土っぽい雰囲気なのに、ちゃんと都会的なのが、本当にちょうど良いですね。エレガントなのにデイリーに着られそうなところが素晴らしい!
想像、めぐる作品

伊藤:続いて紹介するのは、“KHAYAL”というテーマにぴったりの、思わずあれこれ想像をめぐらせたくなる作品です。
JACKET#60-SUMI DENIM AIZOME OVERDYED

伊藤:まずはSUMI DENIM AIZOME OVERDYEDで作られたJACKET#60。往年のモーターサイクルジャケットをイメージさせる一着ですが、オリジナルとは違って、円の動きをする肩の関節に合わせた、肩周りに縫い目のない、とても着心地の良いパターンで作られています。
そして何より、このジャケットは裏側の始末がめちゃくちゃ綺麗なんです。だから個人的には、固定概念に縛られず、思い切って裏側で着て欲しいですね。
__え、本当にめちゃくちゃ綺麗じゃないですか!
伊藤:でしょ!?想像力って、ファッションの醍醐味だと思うんです。「これ、どうやって着ようかな」っていうのが楽しい。
かといって、何でもかんでも自由に着てしまうと、それはそれで街や場所に馴染めなくなります。でもJAN JAN VAN ESSCHEの作品なら、普通なら「やりすぎ」になる着こなしも、ちゃんとファッションとして成立するんです。
JACKET#59-COTTON SILK CANVAS ARMY GREEN

伊藤:JACKET#59-COTTON SILK CANVAS ARMY GREENもそうです。
このジャケットはノーカラーのように見えて、ラペルが裏に縫い合わされていて表にラペル状のステッチが現れます。
ポケットは貫通式になっていて、中からも外からもものを取り出せる作りになっています。
SILK CANVAS ARMY GREENは本当に軽やかな生地なので、袖口をぐるぐるとロールアップして、シャツのように着こなすのがおすすめなんですが……。
__なんですが……?
伊藤:これも裏返すと、パイピングの曲線的なラインが襟や裾の直線的なラインの組み合わせを「やりすぎ」感なく楽しめます。
しかも貫通式ポケットのおかげで、ポケットがアクセントになりながらも使用ができます。
__パイピングの始末が美しすぎて、もともとそういうデザインだったんじゃないかと思えてきますね!

伊藤:こちらのニットは、見る角度によって単色にも、ボーダーにも見えるという不思議な編み方で作られています。
上から見るとベースの色しか見えないのに、下から見るとボーダーが見えてくる。オットマンステッチという編み方なのだそうです。
__すごく楽しい生地ですよね、これ。
伊藤:後ろのシルエットもとてもエレガントです。薄手のニットながらも、芯のあるタフそうな生地なので、カットソー感覚で着たおしてもらえるはずです。
屋根の瓦が重なったような構造になっているので、空気の通り道があるのと肌の接地面積が少ないのでかなりエアリーな着心地が味わえます。
__そういえば、このニット、袖をロールアップすると色が反転したボーダーが出てきて可愛いんですよね。
伊藤:そう!良いところに気づいてくれました!この生地、「裏」がすごく良いんです。だからこれも裏返しで着てみて欲しいな、と僕は提案したくて。
__そうか、裏返してきると、表よりもくっきりしたボーダーになるんですね。これも大アリですね!

伊藤:あとはこれ、JAN-JAN VAN ESSCHEチームお手製の麻組紐のベルトです。
これはJan Janとアトリエのメンバーが二人一組になって捻って作っているそうです。
ベルトループに通してベルトとして使うもよし、ウォレットチェーンのように垂らしてもよし、ネックレスにしてもいいでしょうし、カバンのハンドルに巻き付けてストラップにしても、長く使ってショルダーストラップにしても良いと思います。
まさに“KHAYAL”を体現した逸品と言えるんじゃないでしょうか。
__確かにそうですね。「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤をさせてくれるというか、想像力をめぐらせて服を着ることの楽しさを思い出させてくれる作品ですね。
「JJVEの服は、自由で、そして美しい」15年目だからこそのクリエイション

過去から今へ、今から未来へ
伊藤:JAN-JAN VAN ESSCHEは、今年の6月でブランドがスタートしてから15年を迎えます。
これだけ続けていれば、彼らの中でも「こういうものを作れば、とりあえず売れる」というものは十分わかっているはずです。
でもJan Janたちは決して「とりあえず売れるもの」を作らないんです。売るための洋服ではなく、洋服を通じて自分たちも前進しようとしているんですよね。

彼らのこういうスタンスは、今シーズンの作品からも強く伝わってきます。過去の経験をフルに活かしながら、現在や未来に何かしら新しい提案をしようとしているからです。
__例えばどんな作品にそうしたスタンスが現れていますか?

伊藤:TROUSERS#84はそうした作品の一つです。SUMI DENIM AIZOME OVERDYEDやCOATED CLOTH TAR BLACKをはじめ、さまざまな生地で展開されているパンツですが、これはもともと2022S/SからのOversized 6 Pocket Denimを進化させたモデルです。
ポケットの仕様を使いやすく変更したり、裾に向かって少しだけテーパードさせたシルエットに変更したりと、過去の作品としっかり向き合い、今シーズンに向けて着実にアップデートしています。

大きく変わったのはTANKTOP#18。これまでのJAN-JAN VAN ESSCHEのタンクトップは、1枚の生地を背中で組み合わせるパターンになっていて、構造上首回りや脇下が開放的に開いていました。
しかし今シーズンはパターンを大幅に変更。その結果、襟ぐり・脇周りのバランスがコンパクトになり、都会的な印象に。
1枚の生地を背中で組み合わせるパターンは長い間使っていたお家芸だったはず。それを捨てて、新しいものを生み出そうとするスタンスからは、JAN-JAN VAN ESSCHEチームの服作りへの真摯な姿勢が感じられます。
「“自分らしさ”を見つけに来てください」

__今シーズンのJAN-JAN VAN ESSCHEは派手さはないものの、自分が着たいと思うもの、自分に合っていると思うものが多いような気がします。
伊藤:僕もそう思います。だからこそ、みんなにもそうしたJAN-JAN VAN ESSCHEのクリエイションを体感して欲しくて、バイイングも工夫しました。
__工夫、ですか?
伊藤:柔らかなWRINKLED CLOTH EARTHと硬さを感じるFINE STRIPE CLOTH BLACK、ぬめりのあるしっかりとした生地感のTIME WASHED CANVAS BLACKとクリスピーで軽やかな生地感のCOATED CLOTH TAR BLACK。
同じモデルでも、生地を変えれば着る季節も、着ていく場所も変わるようなバイイングをすることで、着る人が自分に合ったチョイスができるようにしたのです。
これが功を奏したのか、JAN-JAN VAN ESSCHEは特に、店頭で自分らしい一着と出会われるお客様が多いように感じています。
__先ほど伊藤さんがおっしゃったように、今シーズンのJAN-JAN VAN ESSCHEは自由度が高いにもかかわらず、裏で着たりしてもファッションとして成立する懐の深さを備えています。これはそんなに簡単にできることでありません。
伊藤:まさにその通りです。だからお店に来ていただければ、きっと「自分らしさ」が見つかるはずです。
すでにかなりの作品が旅立ってしまっていますが、それでもまだまだ楽しんでいただけるはず。皆様のご来店をこころよりお待ちしております。
__今日はありがとうございました。
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