VISION OF FASHION

MENU

ITEM

JAN-JAN VAN ESSCHE 2022SS “今シーズンおすすめしたい逸品”【京都・乙景編】

夕暮れにふと「今何時かな?」と時計を見ると、思いほか遅い時間。今年も春がすぐそこまで来ているんだなと実感します。

京都・乙景、東京・CONTEXTの店頭はすっかり春の衣服が並び、中にはすでに手に取っていただけたお客様もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は乙景の店主山下より、ますます春が楽しみになるJAN-JAN VAN ESSCHE 2022SSについて、コレクションの印象やおすすめしたいアイテムや素材、衣服に託したい思いなどを語ってもらいました。

「お客様のリアクションを見て、改めて今季の作品の力を実感した」

__まずはJAN JAN VAN ESSCHE 2022SS COLLECTIONの印象から教えてください。

山下:コレクションムービーやルックブックを見た時の第一印象はやっぱりPOPPY REDですね。パッと見て元気をもらえる色で、いわゆるモード系やアルチザン系と呼ばれる服をメインに扱っている僕たちにとっては、かなり新鮮な色でした。

__僕の個人的な感想としては、「かっこいいけど難しい」というのが正直なところでした。

山下:でも実際に入荷してみると、お客様が真っ先に手に取ってくださったのはPOPPY REDのアイテムだったんですよ。ラスト1点、SOLD OUTになったのもこの色のアイテムが先でした。

__え、そうなんですか?

山下:はい。コレクションムービーやルックブックを見て気になっていたお客様、実際に試着をしてみて良い差し色として気に入ってくださったお客様、色々いらっしゃいますが、乙景の場合は「これが初めてのJAN JAN VAN ESSCHEです」と言いながら買って行ってくださる方が多かったんです。

そうやって今季のJAN JAN VAN ESSCHEに触れているお客様のリアクションを見て、改めて今季の作品の力を実感しましたね。

__どういうことですか?

山下:鈴木さんも【考察】JAN JAN VAN ESSCHE は 2022SS COLLECTION “CYCLE” で何を伝えようとしたのか?で書いていましたが、生命力とか情熱、癒しの力みたいなものを感じたんです。

というのも、先日お客様であり、友人でもある方が乙景にふらりと来てくだったんです。話を聞くと「季節の変わり目で体調も気持ちも落ち込んでるから、ちょっと元気をもらいたくて顔を出しました」ということでした。

そこでJAN JAN VAN ESSCHEのPOPPY REDのアイテムをはじめ、今季のアイテムをあれこれ試していただきました。すると少しずつ顔色が良くなっていったんです。

実際、帰り際には「元気出ました、ありがとうございました」と言ってくださって。服だけの力ではないとは思うんですが、やっぱり今季のJAN JAN VAN ESSCHEにはそういう力があるんだなと感じた出来事でした。

「今季一番ツボにハマったのは”TUNIC#30”」———店主山下のイチオシアイテムとは?

__2022SSのJAN JAN VAN ESSCHEで、山下さんのイチオシアイテムはどれですか?

山下:今季一番ツボにハマったのは”TUNIC#30”ですね。あまりに好みだったので、自分用にすでに買ってしまいました(笑)。

__もうすでに(笑)。どうしてそこまでツボにハマったんですか?

山下:「これ、夏絶対着るやつやん!」ってなったからです。

JAN JAN VAN ESSCHEのTUNICに関しては、CONTEXT TOKYOのスタッフ伊藤さんがJAN-JAN VAN ESSCHEの TUNIC#27が「夏の装いに最適」な理由とは?歴史と被服科学から考える“涼”をとる着こなしでも書いていましたが、温かい空気が裾から襟に向けて抜ける構造になっているので、そもそも涼しいんです。

それに加えて今季のTUNICは、後ろ襟が立ち襟になっておらず、より空気が抜けやすい構造になっている。こりゃもう、絶対涼しいんです。

あとは、Martin Margielaの平面期と呼ばれる時期に作られていた、いわゆるフラットガーメントのパターンとの共通点に、服好き魂をくすぐられたのもあります。

__”TUNIC#30”は、完全な一枚布だけど着ると立体的に見えるという点ではまさにフラットガーメントだ。実際やってみるとわかりますが、このアイテムは面白いくらい畳みやすいんですよね。

山下:そうそう。このことに気づいた時に、MargielaとJan Janが2人ともアントワープ王立芸術学院出身だということをふと思い出したんです。改めてJan Janはモードの人なんだなと実感しましたね。

__今季のチュニックは他アイテムに比べて値頃感がありますけど、そう考えるとめちゃくちゃ“濃い”アイテムですよね。うううーん、これは……。

山下:欲しくなってきちゃった?(笑)

__はい(笑)。……べ、別に買うわけではないんですが、”TUNIC#30”は“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”と”RAIN KASURI NETTLE CLOTH“の2種類の生地がありますが、どちらがおすすめですか?

山下:もうそれ、どっち買うかで迷ってません?(笑)

僕が買ったのは“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”です。というのも、僕の今季の推し生地が、このリネンと竹繊維を組み合わせた素材だからです。

「身にまとってこそわかる“静かな癒し”」———“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”について

__“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”はどんな生地なんですか?

山下:僕の第一印象は「ひんやりしている」でした。入荷してすぐ触れた時に、他の生地と比べて明らかにひやっとした冷たさを感じました。その瞬間に「こんなん、夏場に着たら絶対に涼しいやんけ……」ってなったんですよ。

これを読んでいる皆さんにも思い出して欲しいんですが、夏って結局めちゃくちゃ暑いじゃないですか。毎年夏が来る前は「今年こそ夏もおしゃれするぞ」と思うものですが、「やっぱり暑すぎる、無理だ」となるのがお約束です。

__マジで、それな……(暑さを思い出したせいで語彙力消失)。

山下;でも“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”なら、おしゃれと快適さを両立できるんですよ。

__どういうことですか?

山下:ミソはBAMBOO、竹です。この生地はリネンに竹繊維を組み合わせていますが、だから肌に張りつきにくく、汗をかいても暑くならないんです。

__それはどうしてですか?

山下:理由の一つは竹繊維特有の芯を感じる弾力性です。また、竹繊維は高い通気性・吸水性を持つので、汗をかいてもすぐに吸水・乾燥します。だから肌ばなれがいいのだと思います。

ただ、こうした機能面は“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”の魅力の一つでしかありません。

__もっと深いところにも魅力がある、と?

山下:はい。というのも竹繊維には防臭・抗菌・低刺激という特徴もあるのですが、同時に竹は古来清めや癒しの力があると信じられてきた植物でもあるんです。

日本で昔から家の周りの囲いや神仏を祀るために竹が使われてきたのは、そのためだそうです。

__今季のJAN JAN VAN ESSCHEのテーマとつながっている!

山下:そうなんです。POPPY REDは視覚的に僕たちを勇気づけ、再出発のエネルギーを蓄えさせてくれますが、“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”は身にまとってこそわかる“静かな癒し”を備えた生地なんです。

だからこそ、今季のJAN JAN VAN ESSCHEではこの素材をおすすめしたくって。

もちろん一番のおすすめは”TUNIC#30”ですが、他にもフーディジャケットの”PARKA#9“、半袖シャツの”SHIRT#88“、ワイドなイージーパンツの”TROUSERS#69“、ワイドテーパードパンツの”TROUSERS#68“、バンダナサイズのスカーフ”SCARF#26“と、色々あります。

ぜひ一度手にとってみてほしいですね。

「しんどいな、気分的に落ち込んでるなって時こそ、乙景に来て欲しい」———僕たちが衣服でできること

山下:竹繊維の癒しや清め、今季のJAN JAN VAN ESSCHEがくれる勇気や元気みたいなものって、まさに僕たちがファッションを通じてお客様に提供していきたいものでもあります。

だから先ほど話に出たお客様みたいに、しんどいな、気分的に落ち込んでるなって時こそ、乙景に来て欲しいって思うんです。

そういう時ってあんまり人に会いたくないかもしれないんですけど、むしろそういう時こそ来て欲しい。

JAN JAN VAN ESSCHEの作品をはじめ、きっと元気や癒しがもらえる衣服が乙景にはあるから。

__確かに、そのために僕たちが服やファッションをやっている、みたいなところはありますよね。

山下:本当は心理カウンセリングみたいなことができればいいんですけど、そこは専門家じゃないのでできない。でも服やファッションを通じて元気になってもらいたいと思ってやっているので、ぜひ力にならせて欲しいな、と。

__服もそうですけど、山下さんの接客を通じて元気になれるって人も多いと思うんです。これ、けっこう度々言ってるんですけど、山下さんって自己肯定感爆上げマシンなんですよ。一緒にいると、知らないうちに自分のことが好きになってくるというか。

僕が言うと身内話っぽくなっちゃうんですけど、乙景に来た僕の友人もみんな同じことを言っていて。他のお客様にもぜひともそれを体験して欲しいなと思いますね。

山下:あんまりハードル上げないでください(笑)。僕なんてまだまだですよ。

でもそうですね、半年間、乙景の店主をやっていくなかで、お客様やブランドに成長させていただいたという実感はあります。本当にありがたい話です。

そういえば、竹の成長スピードってすごいんですよ。1日で1m、2ヶ月で20mとか伸びるらしくって。

最近のJAN JAN VAN ESSCHEはエコな素材として知られるヘンプ(大麻)をよく使いますが、竹も負けないくらい環境にやさしい素材なんです。

僕も“LEAD LINEN / BAMBOO CLOTH”の”TUNIC#30”を着て、もっともっと成長できたらいいなって思いますね。

__今日はありがとうございました。

ONLINE STOREでJAN JAN VAN ESSCHEのアイテムを見る

<NEWS>
・ZIIIN 2022SS COLLECTIONの第一便が東京・CONTEXT、京都・乙景に到着。
・ZIGGY CHEN 2022SS COLLECTIONの第一便が東京・CONTEXT、京都・乙景に到着。
・東西各店、ONLINE STOREにJAN JAN VAN ESSCHE 2022SS COLLECTIONが到着。

ONLINE SHOP
▼京都・乙景 Instagram
▼東京・context Instagram
▼VISION OF FASHION Instagram

話し手/山下 恭平(乙景・店主)
書き手/鈴木 直人(ライター)