2022S/Sシーズン、買ってよかったものは?【乙景スタッフ・山口竜輝編】
V.O.Fメンバーの「2022S/Sシーズン、買ってよかったものは?」シリーズ、第三回は乙景スタッフ、山口竜輝編です。
彼が紹介してくれるのは、「ずっと恋焦がれていた」というブランドtomo kishidaのジャケットです。
作り手自身の手で織られ、裁断され、縫製されるtomo kishidaの作品たち。山口さんは手にしたジャケットにどんな想いを抱いたのでしょうか。
「ずっと恋焦がれていたから、手に入れられて本当に嬉しいです」tomo kishidaのジャーキンジャケット
__山口さんにとって、2022S/Sシーズンはどんなシーズンでしたか?
山口:手仕事を感じる服に強く惹かれるようになったシーズンでした。
今まではデザインだったり、スタイリングのカッコよさに惹かれることが多かったんですが、V.O.Fに入ってからはデザイナーや職人さんといった、作り手の方の温もりがある服の魅力を知りました。
__どうしてそういうところに魅力を感じるようになったんでしょうか?
山口:人の手というか、意図が伝わってくるから、でしょうか。まだはっきりと言葉にできないのですが、そういった思いが込められた服は大事に、長く歩んでいけるだろうなと思っています。
あとは素材にも興味を持つようになりましたね。
山口:ZIGGY CHENのREVERSIBLE COLLAGE LONG COATに使われているリネンをはじめ、V-NECK SHORTSLEEVE SHIRTに使われているカリグラフィーインク染めの生地。
JAN JAN VAN ESSCHEの”TROUSERS#67″に使われているSUMI LINEN TWILLなどを見たのがきっかけでした。
今までも「これはいい生地だなあ」って思うことはあったんですけど、そこで止まってたんです。でもZIGGY CHENやJAN JAN VAN ESSCHEの素材を見て、触って、「こんな世界もあるんだ」って目が開くような思いをしたんです。
__色々な作品に触れ、手仕事や素材に惹かれていくなかで、一番買ってよかったと思ったものは何ですか?
山口:tomo kishidaのジャーキンジャケットです。素材はウールのスーツ生地を裂き織りの手法で織り上げたもの。ヴィンテージウェアらしさもありながら、作り手の岸田さんが現代的なファッションの要素を織り込んで仕立てられた1着です。
__これは5月に乙景で開催した、tomo kishidaのイベントの時に買ったんですか?
山口:そうですね。イベント前に打ち合わせをしに店主の山下さんと岸田さんのアトリエにお邪魔したんですが、その時にこのジャケットに使われている生地を見せてもらって。
帰ってからも「あの生地よかったな……」って思っていたら、イベントの時にジャーキンジャケットの形になってお店に届いたんです。もうあまりのカッコよさに感動してしまって、購入させていただくことに。
__でも山口さんは、今シーズンもたくさん買い物をしていますよね。その中でもtomo kishidaが一番だった理由は何だったんですか?
山口:tomo kishidaにはずっと恋焦がれてたから、手に入れられて本当に嬉しかったんです。
__どこでtomo kishidaを知ったんですか?
山口:ブランド自体は知っていたのですが、気になったきっかけは、Wataru Bob ShimosatoさんのTomo Kishida is, – “Prologue”という動画でした。
まだ乙景で働き始める前です。この動画を見て、こういう世界もあるんだって驚いたのと同時に、単純に生み出される作品に感動したんです。
で、そのあとCONTEXT TOKYOに遊びに行ったら、巾着バッグが置いてあって。どうしても岸田さんの作品を感じてみたくて、購入しました。
関西に帰ってきた後も「いつかは服も欲しい」って思っていたら、今度はHand-making clothes by using fabric wastes.っていう動画がアップされた。見ると、tomo kishidaの生産背景をより深掘りした内容でした。
この動画を見た時に、岸田さんの考え方や生き方によりいっそう衝撃を受けたんです。あまりに感銘を受けて、家族や周りの友人全員に見せて回ったくらいです(笑)。
__そんなブランドの作り手と、今回イベントで関われたのは相当嬉しかったのでは?
山口:まさに。岸田さんのような方が作った服を、自分が買って、着て、感じられることは、最高に幸せだなと思ってます。本当に買ってよかった。
ただ買ってよかった、って思う理由はもう一つあるんです。
__ぜひ教えてください。
山口:イベントを通じて、tomo kishidaが作る1着1着の……なんというか……「その服はその人が一番似合う」感、みたいなものを実感したからなんです。
__どういう場面でそれを実感したんですか?
山口:お客さまが思い思いのtomo kishidaの作品を選んでくださった時です。今回のイベントでご購入いただいた際に、僕には「この作品は、きっとこの人が一番似合うんだろうな」って思えたんです。
選んだ人に寄り添うというか、作品と人が惹かれ合うというか……。
しかも、イベント中ずっとこのジャケットを着ていたんですが、色んな人が僕にも同じことを言ってくれたんです。「そのジャケット、めっちゃ竜輝くんっぽい」「めっちゃ似合うね」って。
そんなことを感じさせる服ってなかなか無いんじゃないかなって思うんです。だからイベントを経て、よりいっそう買ってよかったなって思えるようになりました。
本当に大切に、大切に着ていきたいですね。岸田さんも「ガンガン洗ってや」っておっしゃっていたのでたくさん着ていきます(笑)。
__では最後に、次に狙っているものについて教えてください。
山口:ZIGGY CHENのV-NECK SHORTSLEEVE SHIRTですね。
__けっこうずっと狙ってる?
山口:いや、最初に見た時はあまりビビッときてませんでした。でも撮影なんかで何度か着ていくうちに「あれ、これ使い勝手もいいし、色合いもカッコいいし、めっちゃいいのでは?」ってなってきて。
特に日本の職人の技術でしか実現できないカリグラフィーインク(墨汁)染めの表情には、強く惹かれるようになりました。今シーズンは素材に興味を持ったシーズンでもありましたから。
店主の山下さんがZIGGY CHEN 2022SS “今シーズンおすすめしたい逸品”【京都・乙景編】で話していた、HYBRID VEST JACKETと同じく、インナーにするとベストっぽく見えるところとかもいいなあ、と……。
そんなこんなで、どんどんどんどん欲しくなってきた次第です(笑)。
__なるほど、じわじわ系だったのね(笑)。
山口:セールにもなっていて、季節的にもここからガンガン着られる素材で、僕のサイズは残り1点ですし、早く決めないと旅立つのは時間の問題なんですよね。いや、めちゃくちゃおすすめなんですが、その、やっぱり自分でも着たいし、みたいな、ところも、全然、ある(笑)。
__なんか同じようなことを、店主の山下さんも言ってましたね(笑)。ぜひとも大いに悩んでください。今回はありがとうございました。
<NEWS>
・東西各店にJAN JAN VAN ESSCHE 2022-23A/W COLLECTIONが到着。
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語り手/山口 竜輝(乙景スタッフ)
書き手/鈴木 直人(ライター)