この春夏に買ってよかったものは?【乙景店主・山下恭平編】

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この春夏に買ってよかったものは?【乙景店主・山下恭平編】

いつの間にか2021年も半分が終わり、夏の訪れを感じる気候になってきました。皆さんの春夏のショッピング事情はいかがでしょうか。

すでに一通り買い終えた人、「秋冬はなにを着ようかな」と次の季節に目が向いている人、セールアイテムで悩んでいる人、色々だと思います。

当社のONLINE SHOP<VISION OF FASHION>でもセール中ですので、ご検討中の方はお買い逃しなきように、ぜひご覧ください。

今月のV.O.FのJOURNALは全メンバー合計6人に「この春夏に買ってよかったものは?」をテーマに話してもらいます。

トップバッターは乙景店主・山下恭平。紹介してくれたのは90年代のCOMME des GARÇONS HOMME PLUSのスウェットドッキングシャツ、ZIIINの2021SS新作のテーパードパンツMASAMUNE、そしてHERMESのレザークロシェットです。

ただ単純に「使いやすいから」「おしゃれだから」という視点だけでなく、自身の精神の成長ともリンクさせて語ってくれました。

「30代に差し掛かってから、ものの選び方が変わった」

__白いシャツ、ベージュのパンツ、黒のレザーのネックレスと、色味からして渋いチョイスですね。

これらは全部今年の春夏買ったものなんですけど、30代に差し掛かってから、ものの選び方が変わったと思ってて。

__どういうことですか?

20代の頃の自分って、目立ちたがりやったんです。だから服を選ぶ時も、目立つために人と違う格好しようとか、インパクトのあるものを着ようとか、そういう目線で選んでた。

__例えばどういう服を着ていたんですか?

ブレザーのインナーにストライプのシャツを合わせて、その下にチェックのパンツを履いて、ブロックチェックのでっかいトートバッグを持つ、みたいな(笑)。

もちろんファッションとして成立するようにコーディネートはするんやけど、アイテムの主張がとにかく強かったんです。それを着てる自分自身もそうやったし。

__他人に向けて服を着ているという感じだった?

そうですね。でも、3年くらいまえから、V.O.Fのメンバーと仕事をするようになって、みんなの服との向き合い方に影響を受けるようになって。

__どういう影響を受けたんですか?

素材とか着こなしで、着やすさや等身大の自分を意識するようになりました。肩の力が抜けたというか。だから今日選んだ3品は、どれもそういう今の自分だからこそ選んだものなのかなと思っています。

90’s COMME des GARÇONS HOMME PLUSのスウェットドッキングシャツ

__では1品目のCOMME des GARÇONS HOMME PLUSのスウェットドッキングシャツについて教えてください。

これは90年代のCOMME des GARÇONS HOMME PLUSが作っていた、オーソドックスなコットンブロードの白シャツと、同色のスウェットをドッキングさせたシャツですね。

ふらっと入った古着屋さんで手に入れたんですけど……実は僕、これまであんまりCOMME des GARÇONSやYOHJI YAMAMTOを着てこなかったんです。

__え、そうなんですか!?

うん。当時はそのあたりは本当に好きな人たちがいたから、自分みたいに「目立ちたい」みたいな軽率な感じで着るのが申し訳なくて(笑)。

ただ、最近はGARÇONSのアーカイブ、特にシャツが気になり始めていて、そこでこのシャツに出会った。

__どうしてGARÇONSのアーカイブのシャツ?

若い頃にGARÇONSを通ってこなかったからこそ、今新鮮に感じるのかもしれません。

加えてこのシャツもやけど、90年代のGARÇONSって、当時けっこう派手なデザインが流行ってたなかで、こういう同色での異素材のドッキングをする、さらに身幅が緩くてたっぷり生地を使ってるみたいなところが、ちょうど今っぽく着られるような気がしていて。

昔やったら、ストライプのシャツとチェックのスウェットがドッキングされてる、くらいのインパクトがなかったらピンとこなかったと思うんです。でも今はこれくらいが自分のバランスなのかなと。

__30歳をすぎたから選べた一着なんですね。

そうだと思いますね。

ZIIINのテーパードパンツMASAMUNE

__2品目がZIIINの2021SSの新作パンツMASAMUNEですね。

イージーパンツ仕様のほどよいテーパードシルエットで、素材は張りのあるコットン。カラーはベージュです。

__山下さんというと、ワイドパンツのイメージが強いんですが……。

ほんとにその通りで、MASAMUNEを買う前は4〜5年くらいずっとワイドパンツ一辺倒でした。その前は細いシルエットのパンツも履いてましたけど、基本はスキニーでした。

だからMASAMUNEみたいな程よいテーパードパンツって、そこまで履いた記憶がないんですよ。

__どうしてシルエットを変えようと思ったんですか?

単純に飽きたんです(笑)。ワイドシルエットのトップスに、ワイドパンツを合わせる着こなしが自分のなかでマンネリしてきていた。そのタイミングでMASAMUNEを見て「履いてみようかな」って思って。

__実際履いたら「なんや、ええやん」と。

そう。ワイドシルエットのトップスに合わせた時に、ちょうどいい具合のVラインシルエットが出るのがいいんですよ。

Vラインって緊張感の出るシルエットだから、スキニーを履くと一気にシュッとした印象になる。でもMSAMUNEは比較的緩やかなテーパードシルエットだから、リラックス感のあるVラインになるというか。

__え、なにそれ、欲しくなる……。

あとはセンタープリーツじゃないのもミソだと思います。脚の中心ラインに沿って、裾まできっちりシーム(縫い目)が入ってるので、縦のラインがきれいに出るし、形も立体的なシルエットになるんです。だから前から見てもよし、横から見てもよし、のパンツになってて。

__まだ在庫、ありましたよね?(買う気になってきてる)

(笑)。いやほんとに、履いてもらったらわかる、シルエットのきれいさやと思います。通販ページや僕らの着用画像で見てもらうのもいいんですけど、やっぱり体感してもらいたい。どのトップスを持ってきても合うんですよ。

__ブラックじゃなくて、ベージュを選んだ理由はありますか?

春夏の気分がこの色だっただけですね。だから秋冬のシーズンになったら色違いも買おうと思ってます(笑)。それくらい気に入ってますね。

【MASAMUNEの通販ページはこちら。】

HERMESのレザークロシェット

__最後のHERMESのレザークロシェットはどうでしょうか?

実はHERMESのレザークロシェットは2つ目で、6〜7年くらい使ってるのがベージュで、今回は黒を買い足しました。

__現行品ですか?

いえ、ユーズドです。今でもレザークロシェットはあるんですけど、現行品はブランド刻印が見えるところについていて、ちょっと好みと違うんです。

僕が買ったものは、刻印が内側についていて、一見しただけじゃHERMESとわからないのが好きで。

__どうして2つ目を買おうと思ったんですか?

さっき言ったように、20代の頃の僕は目立ちたがりで、レザークロシェットにしても一見してつけているのがわかる色が欲しかった。だからベージュを選んだんです。

でも6〜7年と長い付き合いになってきて、自分のもの選びの基準も変わってきた結果、より大人の色が欲しくなって買い足した、という感じですね。

__そこまで気に入っている理由は?

このレザークロシェットって、けっこう他のブランドでもやっていて、パッと見だとエルメスってそんなにわからないんですよね。

だから「あれってHERMESかな、それとも○○かな」みたいな匿名性がある。そこが自分の中でツボなんです。

あと意外に着こなしのアクセントになってくれるんですよ、このネックレス。

__どういうことですか?

春夏だったらカットソーの上にかけるだけでOKだし、秋冬はジャケットとかコートの下からチラッと見えるだけで色っぽい。

レザーの光沢感もあるので、同系色のトップスやアウターの上につけても、ほどよく主張してくれる。だからめちゃくちゃ使うんです。

__なるほど。いやあ、今回の3品はかなり渋いセレクトでしたね。

大人になっていこうって思う、今の自分の気分がよく出た3品だと思います。レアだから、高いからで選びがちだった昔に比べて、リアルに着れるもの、使うものを選ぶようになりましたね、ほんとに。

結局買っても着なかったら意味がない、使ってなんぼなんやなというか。だから買ってみてよかったら、色違いで買ったり、アップデートされたものを買ったり、そういう買い物の仕方になってきました。

__いやあ、これからの山下さんの買い物・着こなしに興味津々です!今日は興味深い話をありがとうございました。

第2弾はZIIINデザイナー・中村の「この春夏に買ってよかったもの」です。記事はこちらのリンクからご覧ください。

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聞き手/鈴木 直人(ライター)
語り手/山下 恭平(乙景店主)