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COLUMN

今、欲しくて欲しくてたまらないZIGGY CHEN

今季はどのブランドも着るシーンを選ばない、着回しやすいアイテムが多く、財布の紐が着古した寝巻きくらいゆるゆるなライター鈴木です。

VISION OF FASHIONのセレクトはもちろんですが、他店のセレクトも「あー、こっちもいいですねえ」となるものばかりで、本当にどうにかなってしまいそう……。

先日1st deliveryがあったZIGGY CHENの2021-22AW COLLECTIONもめちゃくちゃな大豊作。自社のONLNE SHOPを見ては悩む日々を送っています。

今回はそんなZIGGY CHENのコレクションから、今僕が欲しくて欲しくてたまらない3点について、その魅力をひたすら語ってみたいと思います。ぜひとも一緒に「欲しくて欲しくてたまらん!」と悩もうではありませんか。

絶妙なサイズと太湖石の生地に首ったけ BAG Art.#002

提供:ZIGGY CHEN

一番手はボタンで開閉するタイプのフラップ式バッグ。内部には内ポケットが2つついています。ストラップは調整可能で、取り外すこともできます。生地は今季のZIGGY CHENを象徴する蘇州古典園林の奇石“太湖石”をプリントしたコットン素材です。

カバン選びって、なかなか難しいと思っています。まずはサイズ。「大は小を兼ねる」とは言いますが、大きすぎれば単純に邪魔ですし、場合によってはスタイリングが難しくなることもあります。

かと言って小さすぎれば、必要なものが持ち運びできません。

僕は近所に出かける時も、長財布とスマートフォン、家の鍵に、文庫本or単行本、眼鏡ケースに名刺入れ、エコバッグあたりは持っていたいので、なおさら小さいカバンは使いづらいんです。

加えてデザインもポイントです。あんまり地味すぎれば物足りないし、かと言って派手すぎればそれこそスタイリングが組みづらくなります。うーん、極めて悩ましい。

提供:ZIGGY CHEN

その点、BAG Art.#002は、ともかくサイズがちょうどいい。それこそ先ほど挙げたような僕の最低限の持ち物がしっかり入れたうえで、「出先で飲み物買っても大丈夫だな」くらいの若干のゆとりが残ります。

デザイン面での主張もいい塩梅です。太湖石というと、太湖という湖の中で長年の浸食により無数の穴が開いた奇石。

それをプリントしたと言われると奇抜な印象を受けますが、この石の質感をうまく抽象化しているので、過度な奇抜さはありません。

むしろ一種の迷彩柄だと考えれば、シンプルになりがちな秋冬のスタイリングの良いアクセントになるんです。

提供:ZIGGY CHEN

洋服はこうした使い勝手も大事ですが、同時にそこに込められた哲学も大事ですよね。BAG Art.#002はそこも抜かりなし。

ZIGGY CHENの今季のテーマはSugarden。蘇州と庭園を組み合わせた造語ですが、太湖石はその象徴です。

というのも中国・蘇州に点在する庭園群「蘇州古典園林」が造営された明代・清代や唐代末期や元代末期において、太湖石は当時の皇帝までもが夢中になる中国の美意識の最先端だったからです。

前回のブログでは、今季のZIGGY CHENは自分たちの根底にある文化や美意識と向き合おうとしているのではないか、と書きましたが、この太湖石プリントの生地からはそうした姿勢が強く感じられるんです。

使い勝手も良くて見た目も抜群、思想的な面でも深くて濃い。だからこそこのカバンは、今僕が欲しくて欲しくてたまらない一品なんです。

ZIGGY CHEN BAG Art.#002の販売ページはこちら

濃ゆい“東洋”をまといたい SHIRT Art.#708

提供:ZIGGY CHEN

二番手は、蘇州古典園林を思わせる植物のモチーフを全面にプリントしたマオカラーシャツです。ワイドシルエットなルーズフィット仕様で、膝上のやや長い丈とサイドに入ったスリットが特徴になっています。

引用;Wikipedia

このシャツの魅力はなんと言っても、そこはかとなく漂う東洋の香りです。

・中国服の代表的なモチーフである少し高さのあるバンドカラー(マオカラー)
・ともすると指先まで隠れてしまうほどの長い袖丈
・サイズ44も46も90cmを超える長い着丈
・ポケットもタックもないシンプルな作り

これらにくすんだ真鍮のような渋い色合いの植物モチーフのプリントが合わさることで、今の街並みに馴染むように作りながらも、東洋的なムードが漂うシャツになっているんです。

日本の文化は確かに同時の進化を遂げてきましたが、もとを辿れば大半の文化が中国から伝来したもの。日本人の僕がこのシャツに惹かれるのは、必然と言えば必然のような気がしています。

提供:ZIGGY CHEN

また、このシャツの柄も、今季のテーマSugardenに深くリンクしています。蘇州古典園林の植物がモチーフになっているという点もそうですが、左右非対称の柄も今季のテーマとつながっています。

というのも、伝統的な中国庭園は左右非対称に作ることで、「見る角度を変えても、それぞれの角度で美しく見える」という点に重きを置いていました。だからこそ当時の人々は、均一なところのない太湖石に美しさを感じたわけです。

そのため、このシャツの不均一な柄には、そうした蘇州古典園林に根付いた古来の美意識が現れていると言えるのです。

提供:ZIGGY CHEN

しかもこのシャツ、着心地がめちゃくちゃにいいんです。おそらく10%のウールが混ぜ込んであるためだと思いますが、薄手なのにふんわりと柔らかく、それでいて軽い。

肌に近い服ほど肌触りが重要になってきますが、このシャツはその点もきっちり抑えてきています。ZIGGY CHEN、流石やでえ……。

ZIGGY CHEN SHIRT Art.#708の販売ページはこちら

秋冬のマンネリ打破の最適解? TROUSERS Art.#501

提供:ZIGGY CHEN

三番手がヴァージンウールを主とした柔らかな生地で作られた、フルレングスのクラシックな2プリーツワイドパンツです。

重ね着が楽しくなる秋冬のファッションですが、一方で黒やネイビー、グレーなど、ダークトーンが多くなりがちでもあります。

ロングコートを着れば、中に何を着ていてもすっぽり覆われてしまうので、マンネリを感じることもしばしば……(去年の僕がまさにこれでした)。

そんな時に役立ってくれるのが、TROUSERS Art.#501のような白パンです。ワイドパンツならロングコートの裾から見えるだけでも、十分スタイリングの雰囲気を変えてくれるので、なおさら頼り甲斐があります。

提供:ZIGGY CHEN

「でも白のワイドパンツなら他にもあるのでは?」と思うかもしれません。でもそこはやはりZIGGY CHEN。色と生地のニュアンスが抜群なのです。

まずは色ですが、日の光を反射するような白パンも夏は爽やかでいいのですが、秋冬の街のムードにはハマりません。生成りのような柔らかな色も素敵ですが、都会的な街並みにはちょっとナチュラルすぎることも少なくありません。

そこでZIGGY CHENが選んだのが、少しすすけたようなダーティホワイトと呼ばれる白です。洗練されすぎず、かといってナチュラルすぎずの絶妙な色合いなので、秋冬のアウターとも違和感なく合わせられます。

提供:ZIGGY CHEN

加えて生地選びも、秋冬でも浮かないポイントになっています。

肌触りが優しく、起毛感のあるヴァージンウールの生地には21%のコットンと5%のメタルが織り込まれています。メタル繊維は履き込んでいくことで細かなシワを作るので、短期間でヴィンテージウェアのような奥行きのある表情になります。

ともすれば平面的な表情になりがちな白ですが、ZIGGY CHENはこうした色選び、生地選びによって秋冬でも使いやすい一本に仕上げているのです。

2021-22AWではすでにJAN JAN VAN ESSCHEの”TROUSERS#65″ BLACK STRIPED VINTAGE WOOLを個人オーダーしていますが、ZIGGY CHENのTROUSERS Art.#501も、それに負けず劣らずのド本命パンツなのです。

ZIGGY CHEN TROUSERS Art.#501の販売ページはこちら

伝わって欲しい、でも伝わって欲しくない

「めちゃくちゃ個人的な内容だし、2000字くらいに収めよう」と思っていたのですが、なんと3000字をオーバーしてしまいました。でもそれくらい、この3点の素晴らしさを伝えたかった……許してください。

この文章でZIGGY CHENの素晴らしさが伝わって、お客様に買わずとも「欲しいな」「試着してみたいな」と思っていただければ、これほど嬉しいことはありません。

ただし、本気で自分で買うかどうか迷っているせいで「伝わって欲しくない」という思いも1%、いや5%、うーん20%くらいあったりします(笑)。ライターとしての自分と、服好きとしての自分が、心の中で戦っている……。

皆さんは今季、どんな「欲しくて欲しくてたまらない」で悩んでいますか。ぜひ店頭やInstagramのコメント、DMなどでお聞かせください。

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<NEWS>
【新入荷】
・乙景、CONTEXT TOKYOにてZIGGY CHEN 2021-22AWコレクションが販売開始。
・CONTEXT TOKYOでは英国のユニセックスブランドXENIA TELUNTSの2021-22AWコレクションが新入荷。

書き手/鈴木 直人(ライター)