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この春夏に買ってよかったものは?【ZIIINデザイナー・中村憲一編】

V.O.Fメンバーの「この春夏に買ってよかったものは?」シリーズ、第2弾はZIIINデザイナー・中村憲一です。(第1弾、乙景店主・山下恭平編はこちらのリンクから)

紹介してくれるのは、ZIIINの2021SSコレクションからDARMA、江戸時代の風俗研究家としても知られる漫画家杉浦日向子の『百物語』、そして1966年創業のドイツの浄水器メーカーBRITAの浄水ポット「アルーナ XL」の3点。

デザイナーの思考が垣間見える品がある一方、生活の中で見つけた良品の紹介もあり、中村ならではの興味深いチョイスとなりました。

ZIIINのワイドパンツDARMA

__では、まずはZIIINの2021SSのDARMAからお話を聞かせてください。

DARMAはZIIINの1stシーズンである去年の春夏からあるパンツで、ZIIINのパンツのなかでは一番太いシルエットのものです。

ベルトには「オビベルト」と言って、イージーパンツのドローコード(腰紐)を帯状にすることで、見えても不格好にならないデザインにしてあります。

__2021SSはけっこう大胆にデザイン変更が入りましたよね。

はい。一番は足首から太腿の付け根にかけて、内側をコットンのオーガンジー(透ける素材)にしたことですね。これが自分の中では大満足で、とにかく涼しい。

湿気の多い梅雨や、気温が高くなってくる暑い日でも快適で、こればかり履いていますね。

__コットン素材のオーガンジーって珍しいような気がします。

実際オーガンジーという素材は、ナイロンやポリエステルのものが多いんですが、私は天然繊維にこだわりたくて、この生地を選びました。

__驚くほど涼しいですよね。加えてデザインとしても効いているように思います。

透けがほどよい色気を生んでいていいですよね。ただこの素材、廃盤になったらしく、工場がもう作らないそうです。

でもストックがまだあったので、全部ZIIINのために押さえてもらいました。

__買うなら今、という感じですね。

そうですね。この良さをぜひ皆さんに体感して欲しいです。

__今季のDARMAはシルエットにも若干の変更が入りました。

去年よりもけっこう、裾をすぼめてテーパードにしました。前のモデルの太さもよかったんですが、階段の上り下りで裾を踏んづけがちだったので、ちょっと危なかった。

だから変更して歩きやすくしたという形です。

__おかげで踏んづけることもなくなりましたし、加えて色んな服に合わせやすくなったのかなと思います。

そうですね。3タックの形はすごく気に入っているので、来春にはさらにアップデートをして行きたいと思っています。

__一人のZIIINファンとして、めちゃくちゃ楽しみにしています!

【DARMAの通販ページはこちら。】

杉浦日向子『百物語』

__2品目は、中村さんらしく本ということですが。

杉浦日向子さんの漫画『百物語』ですね。

私は妖怪が好きなんですが、彼女は江戸時代を舞台にした物語を描く漫画家で、本作は時空を超えて姿を現す魑魅魍魎たちと人間たちの様子を軽いタッチで描いた作品です。

__どのあたりが見どころなんでしょう?

柳田國男さんの『遠野物語』みたいな感じで描かれているところですね。

何かオチらしいオチがあるわけでなく、「不思議だね」みたいな感じで各話が終わるんだけど、その放ったらかし感がすごく良いんです。

あと絶妙に力の抜けた、引き算の上手な絵柄もいい。

あんまりうますぎると絵を見るだけで全部わかったような気になってしまうんだけど、杉浦さんの絵は日本画のように余白をうまく使っているので、想像の余地がしっかり残っているんです。

だから想像力が膨らんで、とても面白い。水木しげるさんが好きな人はハマると思いますよ。怖い話ではあるから、夏にちょうどいいですし。

__他にも杉浦さんの作品は読んでいるんですか?

代表作の『合葬』もよかったです。

新撰組の物語をモチーフにした作品で「人が人を殺すとはどういうことか」という重厚なテーマを扱っているんですが、軽やかに描いているのでさらっと読むことができました。天才じゃないかと思います。

あと彼女の作品は、江戸の気楽さに触れられるのも良いところですよ。

__どういうことですか?

江戸時代ってこんなに気楽だったんだなって思うと、生きていくのがちょっと楽になるんです。

なんでこんなに現代はあくせく生きているんだろう、もうちょっと肩の力を抜いていこうかな、という感じで。それもあって、最近はけっこう杉浦さんの作品をよく読みますね。

__何か読み始めたきっかけはあったんですか?

もともとは半年くらい前に友人に勧められて買って読んだんです。でもその時は代表作を何冊か読んでおしまいだった。当時はあまり江戸時代に興味がなかったから。

でも最近江戸時代にブームになった「千社札(※)」に興味が湧いてあれこれ調べている時に、杉浦さんのことを思い出して、もう一度読むようになりました。

※日帰り参拝者が参籠の代わりに自分の名前を書いた札を貼ったことに由来する、神社や仏閣に参拝を行った記念として神社仏閣の建物に貼るお札。(参考:Wikipedia

BRITA浄水ポット「アルーナ XL」

__3品目はBRITAの浄水ポットですか。

はい。一気に生活臭がしてしまってるんですが(笑)、「今年一番良い買い物は?」と聞かれたらこれかもしれないというくらい、満足している品です。

__そもそもどうしてこれを買おうと思ったんですか?

きっかけはペットボトルを減らしたいと思ったことです。水を買うとなると、どうしてもペットボトルのゴミが出てしまいますよね。

どんどん積み上がっていく空のペットボトルを見てなんだかなあと思っていたときに、これを知ったんです。

__僕もこのポットから水をいただくことがありますが、本当に美味しいですよね。

しかもリーズナブルなんです。1リットルあたり7円とかだったような……。ペットボトルを買えば小さいものでも100円弱はしますからね。

しかもこの「アルーナ XL」はまとめて2リットルも作ってくれるので、とても重宝します。

濾過はフィルターでやっているんですが、これもヤシの実の繊維を使っているらしく、そこでもエコなんです。さすがドイツメーカーだなと思いますねえ。

__実はこれ、僕も気になってるんですよね。

毎日、しかも1日何回も使うものだから、とても満足度は高いですよ。強いて不満をあげるとすれば、フタがきっちり閉まらないせいで、ちょっと不安だなというくらいですね。

__そこはBRITAさんよろしくお願いします、ということで(笑)。今日はありがとうございました。

第3弾はCONTEXTスタッフ・伊藤香里菜の「この春夏に買ってよかったもの」です。記事は近日公開予定。お楽しみにお待ちください。

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聞き手/鈴木 直人(ライター)
語り手/中村憲一(ZIIINデザイナー)